本年1月16日、ロームシアター京都の新館長に劇団地点の三浦基代表が就任することが内外に向けて発表され、そして1月29日劇団地点の公式サイトに「団体交渉 経過のご報告」とのリリースが掲示されました。この件に関して、映演労連フリーユニオンとしての見解をお知らせいたします。

 

 劇団地点は2018年7月に所属劇団員を解雇。昨年5月に当ユニオンを通じて一方的解雇や在職中のハラスメント行為に対する謝罪等を求めた団体交渉を申し入れていました。交渉は地点側の都合で3ヶ月以上日程の見通しが立たず、9月にようやく実現しました。しかし、解雇もハラスメントも一切を否定する劇団側の姿勢から、当ユニオンのWEBサイト等を用いて広く問題提起することといたしました。

 その後、地点側より解雇事件に関する経過がユニオンのサイト等に掲載されている限り交渉は進められないとの申し出があり、相互に一方的な見解の公表は控えるとの理解の下、私たちは早期解決を目指すため要請に応じてWEBサイト等の記事を削除して交渉に臨んで参りました。

 ところが、今回のロームシアター新館長就任発表にあたって、この信義則を反故にする形で、地点公式サイトに劇団側の主張がリリースされた次第です。これによると、地点側の受け止めは「解雇」ではなく「退職」であって、「争点がパワハラではない」などと解釈されているようです。

 また、リリースに先立って予告通知も地点側より当ユニオンになされましたが、そこにはリリースに至る理由について「貴団体が過去に公表したウェブ上の記事等に関連して」「貴団体が、交渉中であるにも関わらず、一方的な主張を公表してしまったことに端を発する」などと記述されていました。そもそも地点側が引き起こした一方的な解雇やハラスメントが懸案であるにも関わらず、まるで当ユニオンに責任転嫁するような内容です。1月29日のリリースにしても予告通知にしても、解雇ではなく当該劇団員が自ら退職した、パワハラは一切ないのだと主張し続ける、地点側のこれまでの不誠実な交渉態度を裏付けるものと受け止めています。

 例えばリリースにおいて「2019年9月まで、本人との直接の話し合いは実現せず、電話が繋がったのも一度きりでした」とありますが、当該劇団員は解雇後から当ユニオンに相談するまでの間、一貫してメールでのやり取りを希望していたものの、執拗に電話での話し合いや面会を求められたという経緯が省かれています。他、地点側からのリリースには私たちの理解と異なる主張が散見されます。

 私たちは、これまでの地点側の対応から、紛争解決に向けた誠意ある交渉を期待することは極めて困難だと捉えています。解決に向けた次の施策をどうなすべきか現時点では流動的ですが、当該劇団員とも十分に相談した上で速やかに決定し、機会をみて皆様にもお知らせしたいと考えます。

 

 劇団地点は雇用契約として採用した劇団員を一方的に解雇した法人です。また、解雇された劇団員の採用オーディションから解雇に至るおよそ1年の間に、当該劇団員の尊厳を傷つける言動もあったことから、これらの解決を求めて団体交渉を重ねている中での新館長就任発表となりました。

 その演出家としての評価に関わらず、三浦氏は合同会社地点の登記上の代表であり、従業員である俳優を不当に解雇した当事者です。三浦氏には解雇した劇団員への誠意ある謝罪と当該劇団員の名誉回復を果たす責任があるはずです。その責任を全うしない状況下の新館長就任は、誠に残念としか表現できません。

 本件に限らず、演劇や映画の現場といった芸術分野では今なお理不尽な力関係やハラスメントなどの人権を軽んじる行為が存在しています。芸術性の追求は、ともすればこの現実に目を背ける口実に使われます。私たちは誰しもが尊厳を傷つけられることのない環境における芸術文化の発展が共通の目標となるよう、今後も活動を継続する決意です。

以上

2020年1月31日

映演労連フリーユニオン



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