アニメ会社でまた長時間労働・残業代未払事件が発生!
アニメ業界でまかり通るブラック構造に怒りをもって立ち上がった青年の闘い!

エースカンパニー残業代未払事件

 本年10月12日、東京地裁にて潟Gースカンパニー(杉並区、代表取締役・赤城秀之)に対する賃金未払請求を労働審判として東京地裁に申し立てました(民事36部、事件番号:平成29年(労)744号)。
 労働時間は月平均260時間超(労基法の所定内労働時間上限は約173時間)。残業代の不支給に加えて解雇直前の賃金も不払い!

注目の第1回審判は12月1日(金)13:30ヨリ

※労働審判のため原則として傍聴はできません


【エースカンパニー事件の概要】就業規則も雇用契約書も賃金明細もナシ!?

 原告のA氏は2015年7月に就職情報サイトで正社員としてアニメ制作事務を募集するエースカンパニーの採用情報を知り応募、2015年8月から勤務を開始しました。しかし、エースカンパニーは雇用契約書も交わさず労働条件の明示もしないままA氏を雇い入れたのです。
 概ね20時から翌朝8時までのシフト勤務に就きますが、休日は月に7日あれば多い方で残業も毎日のように強いられました。翌年5月にA氏は職場で同僚とのトラブルに巻き込まれたため赤城社長に電話で相談したところ、その場で即日解雇を言い渡されたのです。
結果として、エースカンパニーはA氏の残業代はもちろん、解雇前月の賃金も支払わないままA氏を職場から一方的に追い出したのでした。
 A氏がエースカンパニーに勤務した9ヶ月余り、労働時間は月平均260時間を超えていました。その間、残業代は一切支給されず解雇直前の4月分も5月の解雇日までの賃金も支払っていません。

アニメ産業に今なお蔓延(はびこ)る長時間労働と残業代不払い

 エースカンパニーは海外に向けて動仕(アニメの動画と仕上げ=彩色)を発注するアニメ下請プロダクションです。常時5〜6名と小規模な会社ですが『黒子のバスケ』『進撃の巨人』『妖怪ウォッチ』など多数の人気アニメの制作下請けを受注してきました。

 日本アニメの制作本数は国内の制作能力を既に超えているといわれており、放映日までに作業が追いつかないといった緊急事態がしばしば生じています。そのため、労働現場へのしわ寄せとして深夜におよぶ長時間労働が常態化しています。しかも、多くのアニメプロダクションは労基法違反あるいは悪質な労基法逃れ(非雇用型=請負契約※1)で最低賃金にすら及ばない劣悪な労働条件を強いています。これに耐えられない若手アニメーターが業界を去ることでますます労働力が不足し、結果として多くの作業を海外(中国ほか)に依存しているのが日本アニメの現状でもあるのです。

 今回の事件現場となったエースカンパニーは、大手アニメ制作会社から動画・仕上げを受注し、中国下請けへ孫請けさせるという、いわゆる「海外動仕」専門の事業者です。

 映演労連フリーユニオンで受ける事件として海外動仕は2例目となりました。それだけアニメ産業の中でも海外動仕は闇が深いのかも知れません。

 職業紹介サイトの美辞麗句に踊らされるアニメ志向の若者が後を絶ちません。採用面接や採用直後に雇用契約書の締結と労働条件の明示を求めましょう。募集内容と異なる、または返事を誤魔化すような会社には就職しないことをお勧めします!

 また、就職情報サイトの記事は印刷するなどして保管しておきましょう。後から募集内容と違う気がする、と思って就職情報サイトに問い合わせても過去記事の閲覧は拒否されます。こうした職業紹介事業の在り方もブラック化するアニメ業界を後押ししています。

 あわせて、労働組合への加入を強くお勧めします。何かあってから裁判を起こすよりも「何かある前に防ぐ!」これこそ最善の策です!

※1労基法逃れ(非雇用型=請負契約)の問題点…アニメーターの多くは個人事業主として働いています。しかし、実際には会社施設内で会社が用意した機材を用い長時間拘束を余儀なくされる労働契約としての実態があります。会社は残業代などの使用者責任から逃れるために敢えて個人事業主の立場をアニメーターに課しているのです。