映演労連第53回定期大会報告

【大会スローガン】

九条が泣いている。九条が怒っている。
映演労働者は憲法改悪を許さない!

映演総連から「映演労連」へ!
映演労連から「映演労組」へ!

 私たち映画演劇労働組合総連合(映演総連)は、10月18日中央区佃区民館において第53回定期大会を開催致しました。

イラク戦争の不法性が明るみになる中、いまだ対米従属の姿勢を改めない現政府は、その一方で市民生活を省みない無策ぶりを露呈させています。国民的な期待は平和憲法の遵守と、その憲法に記載された諸権利の誠実な保障にあるはずです。2007年を視野にした憲法改悪や増税など、政府と財界の思惑だけで強行されて良いはずはありません。いまこそ労働組合の存在意義をかけて、憲法改悪の動きに立ち向かい、国民生活に目をむけた真の改革を迫る闘いに踏み出すべき時です。

私たちは今回の大会を通じて、「映画人九条の会」に参加し、憲法改悪阻止の運動を一層推進させるとともに、映画演劇産業の基盤拡充と映演労働者の地位向上、そして映演総連の個人加盟労組「映演労組」への組織転換に向けて、更なる努力と運動の発展を目指すことを確認しました。

 なお本大会では、長年馴染み頂いた「映画演劇労働組合総連合(略称・映演総連)」という名称を、組織実態に合わせることと産別組織としての体制強化をめざして、「映画演劇労働組合連合会(略称・映演労連)」に改称しました。

 事務所や連絡先等に変更はございません。今後とも変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。

映演労連第53期役員
中央執行委員長
高橋 邦夫 (全東映労連)
中央副執行委員長
海老原 卓生 (日活労組)
梯 俊明 (松竹労組)
小田垣 勇 (大映労組)
木伏 博 (舞 芸)
田口 仁 (全東映労連)
中央事務局長
金丸 研治 (松竹労組)
中央事務局次長
飯野 高司 (日活労組)
伊橋 達彦 (大映労組)
坂西 勝 (全東映労連)
中央執行委員
河内 正行 (全東映労連)
平井 恒男 (舞芸)
神之田 勝博 (松竹労組)
高間木 順子 (松竹労組)
小林 義明 (映演総連フリーユニオン)
森本 茂 (関西地連担当/松竹労組)
会計監査委員
瀧口 貴子 (松竹労組)
渡辺 敏雄 (全東映労連)

大会宣言

 イラク戦争が泥沼化する中、十月六日「戦争開戦時にいかなる大量破壊兵器も存在しなかった」とする米調査団の報告書が議会に提出され、アメリカが大義としていたイラク戦争開戦の根拠は崩壊した。アナン国連事務総長からも「イラク戦争は国連憲章違反」と批判され、スペインをはじめ参加国の撤退が相次いでいる。

 小泉政権は、世界の圧倒的多数が反対したこの不法な戦争をいち早く支持したばかりか、派遣反対の国内世論と歴代の政府見解をも無視し、自衛隊をイラクに派遣させた。しかも、イラク戦争の不法性が国際的に明らかになった今も、アメリカ追随の姿勢を崩さず、自衛隊派遣の延長を表明している。

 そればかりか、国連の常任理事国への参加を表明し、六月に強行成立された有事関連法とともに、二〇〇七年を目標に憲法改悪のプログラムを組み、平和憲法を放棄し、「戦争ができる国」づくりを狙った改憲の動きを加速させている。同時に、国家への忠誠と愛国心を植えつけようとする教育基本法の見直しも始まっている。

 戦争放棄を謳った日本国憲法は、世界に誇るべき平和憲法であり、憲法第九条こそ平和の礎として、守るべきものである。日本が「戦争ができる国」になることは、世界からも、アジア諸国民の誰からも歓迎されない逆流であり、国際社会への貢献どころか、世界平和に逆行する暴挙である。

 六十年前、私たち映画、演劇で働く者は、戦争のために表現の自由と創作活動を奪われた。多くの映画人・演劇人の犠牲の上に今日の平和憲法があることを私たちは忘れない。「映画人九条の会」を柱に、平和を愛する日本の映画人、映画愛好者とともに、憲法を守り、実践させていく運動を展開していこう。

 私たちの生活を守る闘いも重大な局面を迎えている。小泉内閣が進める「構造改革」の下、年金改悪、医療費の負担増など、社会保障費の大幅な負担増が矢つぎ早に私たちの生活を直撃している。さらに、二〇〇七年度の実施に向けて、消費税増税法案も準備されている。

 この一年、私たち映演総連の運動は様々な展開があった。映演総連と日活労組、支援共闘会議が総力を挙げた日活闘争は、調布撮影所の横浜みなとみらいへの「移転」を断念させ、大きな運動の前進を勝ち取った。松竹の新撮影所建設を求める闘いも本格的に再開された。映演総連フリーユニオンの運動も前進を始めた。念願の映画・アニメスタッフの活動実態調査も行なわれることになった。また、映演総連は、MICへの直接加盟をはたした。映演労働者を取り巻く情勢は相変わらず厳しいが、これらの展開は、映演産業と映演労働者の未来にとって大きな意義を持つものである。

 私たち映演総連は、本日第五十三回定期大会を大きく成功させることができた。大会では、新たな役員の選出と、情勢に相応しい運動方針を確立するとともに、組織実態に合わせ、映画演劇労働組合総連合(映演総連)から映画演劇労働組合連合会(映演労連)に名称を変更した。これを機に、産別組織としての結束力を高め、対外的にも強固な産別労働組合を目指していく。また、来年の定期大会での「全労連への正式加盟」も検討していく。そして更なる団結力と闘争力を高めるために、3年後を目標に据え、個人加盟方式による単一労組「映演労組」への組織転換についても本格的な議論を開始する。

 私たち映演労連の力はまだ小さいが、私たちの担うべき役割は大きい。憲法改悪が大きく動き出している今、憲法改悪阻止を闘いの中心に据え、平和と自由を守るために、映演文化を守るために、映演総連から映演労連へ、映演労連から映演労組へ、組織と運動のさらなる飛躍をめざそう。

 全労連、MIC、地域やあらゆる市民グループとの連帯を強化し、労働者の生活と権利、国民的要求の実現、平和と民主主義、言論表現の自由、憲法擁護にむけて、結集する全組合員の団結を持って闘い抜こう。

 右、宣言する。

 二〇〇四年十月十八日

映画演劇労働組合連合会 第五十三回定期大会