1. 05秋闘に取り組むにあたって
この一年の映演労連の運動も、様々な展開があった。昨年の大会で名称を「映演総連」から「映演労連」に変えた。松竹の新撮影所建設をめぐる闘いは東京都労働委員会や支援共闘団交などを舞台にして闘われ、本年1月17日に新撮影所建設に向けた「和解協定書」が締結された。中央興業闘争も、1月24日に勝利和解した。親会社ナムコによるUSENへの企業売却に反対し、「金で株は買えても、金で従業員は買えない!」を合言葉に闘った日活闘争は、USENへの企業売却を断念させ、新スポンサーによる経営再建を勝ち取った。映演労連が全面的に協力した画期的な映画スタッフ・アニメーター活動実態調査も行われ、集計された。映画人九条の会も昨年11月24日に発足し、大きく発展した。また映演労連は、個人加盟方式による単一労組「映演労組」化をめざして本格的な議論を開始した。
映演労働者を取り巻く情勢は相変わらず厳しいが、これらの展開は、映演産業と映演労働者の未来にとって大きな意義を持つものである。
私たち映演労連の力はまだ小さいが、私たちが担うべき役割は大きい。憲法改悪が大きく動き出している今、憲法改悪阻止を闘いの中心に据え、平和と自由を守るために、映演労働者の生活と権利を守るために、映演文化を守るために、映演労連のさらなる飛躍をめざして、05秋闘を闘おう。
2. 05秋闘をめぐる情勢
9・11総選挙では、「小泉台風」によって与党が3分の2の議席を占めた。選挙公約にもないサラリーマン増税と改憲の動きが加速している。「憲法調査特別委員会」が設置され、憲法改悪に向けて国民投票法案が国会に提案されようとしている。郵政民営化法案も可決されそうだ。大企業優先、庶民いじめの小泉政権は続く。少数意見を圧殺し、民主主義それ自体を危うくするのが、小泉政治の特徴だ。
北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議は9月19日、朝鮮半島の非核化への共同声明を発表した。
アメリカではブッシュ政権のハリケーン対策に批判が集中する中で、「イラクから兵士を返せ!」の大規模デモ(9月24日)が起こっている。小泉首相はサマワの自衛隊駐留延期を表明したが、撤退時期を検討せざるを得なくなっている。
今年の冬のボーナス戦線は、大企業は高収益を上げているが、石油価格の高騰が響くのでは、との観測が流れている。
05秋闘は、高額一時金獲得とともに、憲法改悪反対、サラリーマン増税反対などの国民的な闘いが重要な課題となる。
- 映演産業の情勢などは、映演労連第54回大会議案書を参照のこと。
3. 05秋闘の課題と取り組み
(1) 憲法改悪阻止に向けて
- 05秋闘のすべての闘いの前面に、「憲法改悪阻止」を掲げて行動する。各地区・単組で学習会を開き、憲法九条の意義を学ぶ。一人ひとりが、ワッペン、署名、政治家やマスコミへのハガキ運動、集会・デモへの参加など、九条改憲に反対する意思をさまざまな形で表明する。
- 「映画人九条の会」の運動に全面的に協力し、「九条の会」アピールを映画・映像・演劇界、単組支部の隅々に広め、賛同者を拡大する。
- 憲法改悪阻止に向けて労働組合としてやるべきこと、労働組合の団結権、行動権を武器にしてできることを検討する。憲法改悪反対の全国的なネットワークを広げ、全国的な交流集会の開催をめざす。
- 国民投票法案を阻止するため、全労連の呼びかけに応じてストライキの決行を検討する。
(2) 年末一時金の高額獲得をめざして
- 05秋闘は早期に闘争体制を組み、憲法改悪反対の闘い、反「合理化」闘争や経営批判闘争、産業基盤拡充の闘いなどとリンクして闘う。秋闘での映演労連交渉、「総決起集会」「夜の銀座デモ」などの統一行動を組み、産別結集を強める戦術で闘いを盛りあげる。
- 労働者の年収が大幅なマイナスとなっているなかで、生活を守る一時金の獲得はかつてなく切実な要求となっている。各労組は「生計費原則」をもとに、組合員が確信が持てる要求を作り上げ、11月上旬に早期要求提出し、粘り強く闘って高額生補金獲得をめざす。
年末一時金が年間セットで決定している組合も、職場要求、制度・政策要求を確立し、産別に結集して闘う。 - 「05秋闘勝利!11・11映演労連決起集会」「11・17 MIC 05年末闘争決起集会」「11・19国民大集会」「11・22夜の銀座デモ」などを【映演労連統一行動日】と設定し、産別結集を強める戦術で闘いを盛りあげる。
- 悪政が次々と襲いかかって来ている今、企業内闘争だけでは生活改善は実現できない。全労連、国民春闘共闘委員会に結集し、「サラリーマン増税反対」などの各種集会・デモなどに積極的に参加しよう。
- 今秋から「06春闘要求アンケート」運動を実施する。
(3) 反「合理化」闘争、雇用と権利を守る闘い
- 日活の経営再建闘争を今後も支援するとともに、資本の勝手なM&Aを許さない闘いを進める。映演労連関連争議、MIC争議団、全労連争議団の勝利をめざして、積極的に支援する。
- 「合理化」攻撃には臆せず毅然とした姿勢で対処し、産別の闘いに広げる。「解雇権乱用の禁止条項」や労基法改正案の国会付帯決議、「整理解雇の4要件」を生かし、解雇権の濫用を許さず、争議経験と教訓を結集して闘う。CSRやコンプライアンスの実行を映演各企業に強く求めていく。
- 重大なリストラ「合理化」攻撃があった場合には、緊急に産別統一スト権を立てて闘う。日ごろから経営チェック能力を高めるとともに、事前協議制を確立する闘いを進める。また、経営責任を厳しく追及する。
- 高齢者雇用安定法に基づく労使協議を、映演各社で早急に開始させ、希望者全員を対象とした60歳以上雇用延長を実現する。産別の共通課題として闘う。
- 「労働契約法制」は、労働契約法制とは似ても似つかない最悪の「労働ルール破壊法制」である。学習会などで「労働契約法制」の狙いを明らかにし、反対運動に立ち上がる。
(4) 映演産業の危機打開と、映演文化の発展をめざす闘い
- 多くの映画人、映画愛好者に訴えて日本映画の製作基地確保の闘いを進める。日活撮影所の存続・リニューアルについては、新生・日活と調布市などに積極的に働きかける。松竹新撮影所建設については、都労委合意に基づいて、新撮影所建設の早急な着手を要求する。
- 「12の提言」と、映演労連の「2005映画振興に関する要望書」の早期実現を求めて、今秋も文化庁交渉、映連交渉、映像産業振興機構交渉を行う。また、厚生労働省との交渉も始める。
- フィルムセンターの、独立行政法人・国立近代美術館からの独立と拡充を求める。
- 演劇については「映演労連政策委員会」を設置し、「最高水準」の舞台芸術への重点支援に偏った「文化芸術創造プラン」の見直し、芸術文化振興基金の縮小反対などの「演劇支援要望書」を作成し、文化庁などに提出する。
- アニメ労働者の生活と権利を守るために、日本のアニメ産業の空洞化を防ぐために、「アニメ産業改革案」を作成し提言していく。映演労連と日本動画協会との交渉を継続する。日本のアニメ労働者を「映演労連フリーユニオン」に組織していく。
- 文化庁が要請し映演労連が全面協力した芸団協の「映画スタッフ・アニメーター活動実態アンケート」結果を、映画・映像に働くものの社会的地位の向上に活かして行く。
- 歴史の真実を偽り、社会の現実をねじ曲げて国民の目を惑わす軍国主義的、右翼的な映画・映像・演劇については、毅然たる姿勢で批判して行く。
- 優れた映画・映像・演劇を推薦し、鑑賞普及運動に協力して行く。日本映画復興会議の活動に積極的に参加する。舞芸の「日本舞台芸術家組合賞」を支援し、優れた職能の継承を応援する。舞芸の「芝居を見る会」、映演労連「舞芸劇団支部の舞台を観る会」も継続する。
(5) 平和と民主主義を守る闘い
- 憲法改悪阻止の闘いを中心に、平和と民主主義を守る闘いを進める。平和運動推進委員会の活動もいっそう強化する。
- マスコミの報道を監視し、不公正報道には機敏に抗議する運動を進める。言論・表現に対するテロ行為は、これを絶対に許さず、厳しく批判して行く。
- イラクからの自衛隊撤退、憲法改悪反対などの大集会に積極的に参加する。ブッシュ大統領や小泉首相への抗議行動を継続する。
- 政府は「共謀罪」をこの臨時国会で成立させようとしている。「共謀罪」は、治安維持法のようなとんでもない法律である。平和運動だけでなく、税金が重いので軽くする方法はないかと相談すれば、税法違反で処罰される。「共謀罪」阻止に向けて行動を起こす。
(6) 組織強化と拡大をめざして
- 「映演労組」への組織転換をめざして、「組織改革委員会」は第二期の議論を進め、各単組・支部では職場討議を徹底して行う。
- 第54回大会で全労連への正式加盟が決議されたら、全労連活動に積極的に参加し、発言する。
- 組合に入っていない契約社員、アルバイト労働者、フリー契約者、管理職労働者を「映演労連フリーユニオン」に組織していく。該当する単組は、十分な指導とバックアップを行う。また、アニメ労働者の映演労連フリーユニオンへの組織化を、今期も重要課題とする。横浜支部を起点にして、シネコンなどの映画館労働者の組織化にも取り組む。
- 魅力ある組合づくりを進め、未加盟組合の加盟促進、未組織労働者の組織化、企業系列内での組織拡大などいっそうの組織拡大を進めて、映演労連を中心にした産別の組識と運動をさらに前進させる。
- また、映演労連内部の連帯強化をめざし、各労組間の交流や学習会、決起集会、映演労連女性連絡会活動、青年部活動、文化部活動、平和運動などへの参加を強化する。映演労連女性連絡会の活動を、なんとしても復活させる。
- 映演労連傘下の全新入組合員を対象にした学習会を、今年12月に行う。
- 教宣活動を重視し、「映演労連ホームページ」「パソコン・ネットワーク」をより充実させる。
4. 05秋闘の主な行動
月 | 日 | 予定 |
---|---|---|
10月 | 8日 | MIC定期総会 (10:30〜全労連会館) |
10日 | 大映労組定期大会 | |
14日 | 舞芸定期大会&舞芸賞顕彰式 (神楽坂エミール) | |
15日 | 横浜キネマ倶楽部発足記念「美しき夏キリシマ」上映会 (関内ホール) | |
17日 | 映演労連第54回定期大会 (10:30〜月島区民館) | |
21日 | 労働委員会シンポジウム (13:00〜全労連) | |
25日 | 労働契約法制学習決起集会 (18:30〜全労連) | |
26日 | 国民春闘共闘06年次総会 (13:00〜全労連) | |
28日 | 全労連争議支援総行動 | |
11月 | 上旬 | 各労組05秋闘要求書提出 |
11日 | 映演労連05秋闘決起集会 (18:45〜文京区民センター2A) 【映演労連統一行動】 | |
16日 | 05秋闘全国統一行動 | |
17日 | 11.12 MIC昼デモ (12:20〜錦華公園) 【映演労連統一行動】 | |
MIC 05年末闘争決起集会 (18:30〜日暮里サニーホール) | ||
19日 | 11・19国民大集会(12:00〜、13:00〜明治公園) 【映演労連統一行動】 | |
22日 | 夜の銀座デモ (18:30〜銀座公園) 【映演労連統一行動】 | |
25日 | MIC争議支援総行動 | |
12月 | 6日 | 映演労連新入組合員学習会 (18:45〜場所・未定) |