改憲手続き法案に反対する声明

2007年2月5日
映演労連第1回中央委員会

 支持率が急降下している安倍首相は、それでも改憲手続き法案は何としても今通常国会で成立させようとしている。

 改憲手続き法案は「国民投票法案」とも呼ばれているが、与党案、民主党案とも一般的な国民投票のシステムを規定するものではなく、改憲のための手続きを定める法案であり、改憲を促進するための法案である。

 昨年の臨時国会で、与党と民主党は改憲手続き法案の修正協議を繰り返し、ほぼ一致をみたと報じられているが、その中身を検証してみると、法案の危険な本質はほとんど変わっていない。

 第一の問題は、テレビ・ラジオによる有料CMについてである。与党修正案は「14日前から投票日まで禁止」、民主党修正案は、A案が「14日前から投票日まで禁止」、B案が「14日前から投票日まで禁止に、放送業者への賛否平等取り扱いの配慮規定をつけ加える」、そしてC案が「発議した日から投票日まで禁止」となっている。

 「公正なルールを作ってCMを解禁しよう」という意見もあるが、テレビCMについての「公正なルール」など、簡単にできるものではない。想定されている「平等取り扱い配慮」は、放送料金の平等程度のことであり、投票日2週間前までは金持ち政党は圧倒的な改憲キャンペーンができることになる。これでは、国民はマインド・コントロールの嵐にさらされ、金で憲法が変えられる事態になりかねない。私たち映演労連は、「放送の自由」を金持ちだけに渡してしまう有料のテレビCMは、禁止すべきだと考える。

 第二の問題は、憲法改正の承認要件である。マスコミ報道では与党、民主党とも「投票総数」の過半数にした、とされているが、それは間違だ。与党修正案では、「投票総数」とは名ばかりで、「投票総数は賛成票と反対票を合計したもの」となっていて、白票はカウントとされない。これでは「有効投票数」の過半数と変わらない。「有効投票数」を「投票総数」と言い換えただけのごまかしである。

 民主党修正案は、A案こそ「投票総数の過半数」であるが、B案は与党案と同じ「投票総数は賛成票と反対票を合計したもの」、C案は投票用紙に「棄権」記入欄を設けるものの、「投票総数は賛成票と反対票を合計したもの」というもので、B案、C案とも、与党案と同じように「有効投票数」を「投票総数」と言い換えたにすぎない。

 最低投票率の設定については、与党と民主党は一致して拒否しており、「少数の賛成で改憲」の危険性は変わっていない。改憲のハードルはあまりにも低い。

 第三の問題は、公務員や教育者の運動についてである。与党修正案、民主党修正案とも、国民投票法上の罰則は設けないとなったが、「地位と影響力、便益を利用した運動の禁止」は残っており、行政処分の対象になる。東京都が「日の丸・君が代」で教職員の処分を乱発したような事態も想定される。

 以上の点だけでも、「修正」改憲手続き法案がどんなに危険なものか明白である。加えて言えば、投票権は18歳以上になったが、国民投票時までに公選法や民法等の規定が18歳に変わらなければ、投票権は20歳以上のままだ。

 一括投票か個別投票か、という点に関しては、与党案、民主党案とも当初から「関連する事項ごとに発議する」とあり、修正協議の対象になっていない。しかし、何をどこまで「関連する事項」とするのか、は不明のままである。

 改憲手続き法が成立すれば、改憲案の発議権を持つ「憲法審査会」が設置され、改憲へのレールが敷かれて、改憲への手続きが開始される。改憲手続き法が成立すれば、そのまま国民投票の実施まで突き進むことになりかねない。

 しかし、こんな改憲手続き法のままで改憲についての国民投票が行われるとなると、これは極めて危険である。私たち映演労連は、こんな改憲手続き法案は、徹底審議の上、絶対に廃案にすべきであることを関係各位に強く要請するものである。

以上
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