原発ゼロをめざす声明

 3月11日14時46分に発生した東日本大震災は、超広域かつ巨大な地震とその後の津波によって東日本沿岸各地に甚大な被害をもたらし、死者・行方不明者の数は2万3000人を超え、今も10万人以上の人が全国で避難生活を余儀なくされている。

 同時に発生した福島第一原子力発電所の事故は、炉心のメルトダウンと建屋の水素爆発という最悪の事態に陥り、発生後100日余りを経過した現在も収束の目処は全く立たず、放射性物質の漏えい・拡散が今も続いている。

 この間テレビを中心とした報道は経産省原子力安全保安院、東京電力、政府の発表と原子力発電推進に肯定的な専門家の見解を無批判に垂れ流すことで事実の隠蔽に加担してきたが、事故評価の国際基準がレベル7に引き上げられ、3基の原子炉が事故発生5時間後から数日の内にメルトダウンしていたことが明らかとなり、「安全神話」は完全に崩壊した。

 事故への対応や発表を巡って海外各国の日本政府への信頼は失墜し、国民の不信は極限に達した。

 今も福島第一原発では溶融した燃料が原子炉格納容器をも突き破り、原子炉建屋地下コンクリートにめり込み始めるなど事態は一層深刻化している。福島の子供や妊婦は放射線に曝され続けている。政・官・産・学・報が一体となって強固な利権構造に周辺住民を巻き込みながら、安全神話をまき散らしたあげく引き起こした今回の事故は、人々から生活、仕事、故郷の暮らしのすべてを奪いさり、数十年にわたって生命を危険にさらす犯罪的人災である。

 事故の衝撃はドイツやスイス、イタリア等各国のエネルギー政策を根本的な転換を促した。原子力発電は最終処理が不可能な放射性廃棄物を生み出し続け、十万年後の未来に押し付ける不完全かつ無責任な技術である。

 地震多発国である日本に於いて国策として建設された54基もの原子炉のうち一つとして安全が保障されるものはなく、一つでも今一度深刻な事故が発生すれば日本の国土・国家は壊滅してしまう。東海大地震震源の真上に立つ浜岡原子力発電所の発電停止だけでは全く不十分である。

 「安全神話」が崩壊したのちも経産省、電力会社および多くの報道機関は、こぞって夏の電力不足と節電協力を脅迫的に喧伝し、尚も原子力発電の必要性を強調するが、現在停止中の原子炉を再稼働させることなく、残り17基を順次停止しても決して電力不足には陥らない。

 もうこれ以上人類史上に禍根を残すような行為を続けてはならない。

 政府はただちに全ての原子炉の廃炉と、再生可能な自然エネルギーへの根本的な政策転換を決断すべきである。

 私たち映演労連は安心・安全な社会を取り戻すため、原発ゼロを強く求めるものである。

2011年6月29日
映画演劇労働組合連合会 第2回中央委員会

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