戦争法の廃止を求める特別決議

 300万人を超える邦人と2000万人以上の東アジアの人々の命を奪った泥沼の日中戦争・太平洋戦争へと日本が突き進む端緒となった柳条湖事件から84年と数時間後の9月19日未明、戦争法案が参議院本会議で採決が強行され成立した。

 国会周辺を中心に全国各地で連日のように数万人規模の集会やデモが繰り返され、学生、子を持つ母親や女性、労働者、市民、学者、法曹関係者など世代・分野を超えて、廃案を求める国民の声が圧倒的な高まりを見せる最中での蛮行である。私たち映演労連は主権者の声を踏みにじる暴挙に満身の怒りを持って抗議する。

 立憲主義破壊のクーデターともいうべき昨年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定以来、政権与党は反対意見に耳を傾けず、目的の為には手段を選ばない姿勢を貫いてきた。

 日米ガイドライン改定に浮かれた安倍首相は、国会上程前の4月29日に米連邦議会上下両院合同会議において、戦争法案を「夏までに成立」させると発言し、日本国民の主権を蹂躙した。憲法審査会に招致された憲法学者を始め、元内閣法制局長官、元最高裁判事までもが法案を違憲と断じる中、国会では首相、外相、防衛相が答弁不能に陥り、衆参両院で100回以上も審議が中断しても、強行採決に向け暴力的な議会運営が進められた。

 9月17日の参議院特別委員会における与党議員らによる委員長席取り囲みと一斉起立というパフォーマンスの議事録が一ヶ月近くの時間を経てようやく公開されたが、採決場面は「発言する者多く、議場騒然、聴取不能」と記される一方、法案は委員長復席後「いずれも可決すべきものと決定した」「付帯決議を行った」などと追記され、議会制民主主義の破壊という取り返しのつかない傷痕が日本の憲政史に刻まれることになった。

 「平和安全法制整備法」と、「国際平和支援法」の戦争法二法は自衛隊を米軍の完全な補完部隊とし日本を平和国家から戦争国家・外征国家へとつくり変えるものである。

 安倍政権は戦争法を露払いとして、自衛隊の国防軍化、憲兵と軍法会議の設置、民間人の軍活動への協力義務化など、「軍拡」・「参戦」・「言論弾圧」・「徴用」へとつながる明文改憲を渇望している。

 私たち映画演劇産業労働者は、戦前戦中に多くの映画人演劇人が味わった弾圧と痛苦の歴史を二度と繰り返さないことを誓うものである。 私たち映演労連は平和を求める全ての人と連帯し、民主主義、立憲主義を取り戻し、生活と権利を守り抜くため、映画演劇産業に働く仲間が結集する労働組合として、あらゆる権利、手段を行使して、戦争法廃止の実現に全力を尽くすことをここに決議する。

以上
2015年10月16日
映画演劇労働組合連合会
第64回定期大会

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