2006年3月1日
○○株式会社
代表取締役社長 ○○○○ 殿
映画演劇労働組合連合会
中央執行委員長 高橋 邦夫

2006年春夏闘要求書

 私たち映画演劇労働組合連合会(映演労連)は、本年2月6日に第1回中央委員会を開き、以下の通り2006年春夏闘要求を決定しました。

 映演労働者の労働条件改善と映画演劇産業の再建・発展のため、貴社との団体交渉を申し入れるとともに、早急に誠意ある回答を要請します

1. 本要求書と、映演労連傘下の○○○○労働組合より提出される2006年春夏闘要求書について、誠意をもって答えるよう要請します。

2. 賃上げと労働条件改善に関する要求
  1.  映演労働者の賃金の底上げをはかるため、すべての映演労働者に10,000円以上の賃上げを行うよう要求します。また、すべての時間給労働者に「時給100円以上」の引き上げを行うよう要求します。
     日本経団連の「春闘終焉」論に与せず、働くものの生活安定と消費拡大をめざして、各社とも積極的な賃上げを行うことを強く要求します。
  2.  
  3.  映演産業の産業別最低賃金と企業内最低賃金を、月額160,000円以上、日額8,000円以上、時給1,000円以上(=いずれもキャリア・ゼロの場合)とし、企業内最低賃金協定を締結するよう要求します。
  4.  
  5.  「成果主義賃金」と「裁量労働制」の導入に反対します。
  6.  
  7.  四月昇給を実施していない企業は、直ちに四月昇給を実施するよう要求します。
  8.  
  9.  夏季―時金については、昨年を上回る一時金を支給するよう最大限の努力をするよう要求します。
  10.  
  11.  週休2日制・週実働35時間の実現をめざすとともに、厚労省通達に従って労働時間の把握に努め、長時間労働の解消に努力するよう要求します。全事業所で36協定を締結してください。未払い残業・サービス残業の根絶を要求します。
     また製作現場の労働時間について、継続作業15時間、非召集(インターバル)10時間、週1回の休日を業界のルールとするよう要請します。
  12.  今年に4月に施行される「改正高年齢者雇用安定法」により、65歳までの雇用延長を段階的に進めることが義務化されました。希望するものには全員65才までの雇用保障を行うよう、各社とも誠意をもって組合との協議を進めるよう要求します。
  13.  賃金、一時金、退職金、諸労働条件について、契約社員、契約労働者、アルバイト労働者、パート労働者など「非正規雇用労働者」と正規労働者との均等待遇をはかるよう要求します。契約社員、契約労働者、アルバイト労働者、パート労働者に、労働条件の最低基準を定めた労働基準法を適用するよう要求します。
  14.  セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメントの防止制度を実効あるものにし、職場からセクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメントをなくすよう具体的な措置を講ずるよう要求します。また、ポジティブ・アクションの推進を要求します。
  15.  その他、育児休業制度・介護休職制度の改善、住宅手当・家族手当の増額、退職金制度の維持拡充、福利厚生の充実、メンタルヘルスを含めた職場環境の改善などの諸要求についても、誠意をもって回答されるよう要求します。
3. 女性労働者の地位向上と母性保護に関する要求
  1.  コース別採用差別、昇進・昇格・昇給格差をなくすよう要求します。
  2.  生理休暇、出産休暇、育児休暇、介護休暇、有給休暇などの社内諸制度について、契約社員、契約労働者、アルバイト労働者、パート労働者などにも適用するよう要求します。
  3.  女子保護規定を遵守し、母性保護の拡大など女性労働者の労働環境改善をめざすよう要求します。また、女性労働者の深夜労働を減らすよう要求します。
4. リストラ「合理化」反対、雇用と経営に関する要求
  1.  映演各社は社会的責任(CSR)を自覚し、法令遵守(コンプライアンス)の立場を明確にするよう要求します。
  2.  映演各社は、雇用の確保に万全の責任をもち、経営展望を示すよう要求します。また、青年労働者の雇用を拡大してください。
  3.  経営のツケを労働者にしわ寄せしないよう要求します。労働者犠牲の一方的なリストラ「合理化」は行わず、「整理解雇の4要件」を守ることを要求します。
  4.  アルバイト労働者、契約労働者、派遣労働者の雇用と権利を守るよう要求します。雇用が1年を超えるものについては、常用雇用労働者としてください。
  5.  不当労働行為はいっさい行わないよう要求します。
5. 映画・映像産業の基盤拡充に関する要求
  1.  文化庁・映画振興懇談会の「日本映画振興について」の「12の提言」の具体化と早期実施、映演労連が提起している「日本映画振興基金」と「日本映画に関する重点要望書」の早期実現に向けて、映画業界挙げて努力するよう強く要求します。
  2.  日本の撮影所を守り、撮影所機能を強化するよう要求します。撮影所への公的支援、公設オープンセットの建設に向けて、業界を挙げて努力するよう要求します。また、映画映像製作に携わる人材の育成と職能の継承に努めてください。
     松竹は、新協定に基づいて新撮影所の早期建設に全力を傾注してください。日活は調布撮影所の存続とリニューアルに踏み切ってください。
  3.  「映像産業振興機構」は経営者だけでなく、映演労連をはじめ映画・映像関係諸団体の意見・要望を広く聞き、諸施策を進めるよう要請します。
  4.  映演産業に働くフリー契約労働者、不安定雇用労働者、俳優などの権利確立と社会的地位向上、労働保険(労災保険、雇用保険)の適用などに向けて、業界として努力するよう要求します。
  5.  労働災害の防止について全力を傾注し、業界全体の労使で構成する「労働災害防止委員会」を設置するよう要求します。
  6.  テレビ局に「優越的地位による不公正な契約関係の押し付け」をやめさせ、番組制作について公正なビジネス関係を作り上げるとともに、充実した番組作りに努力するよう要求します。改正下請二法を守り、守らせてください。
  7.  日本のアニメ産業の歪みを正し、空洞化を防ぐために、私たちが作成した「アニメ産業改革への提言」を真摯に受け止め、アニメ産業改革のために行動を起こしてください。
6. 演劇に関する要求
  1.  「最高水準」の舞台芸術への重点支援に偏った「文化芸術創造プラン」を見直すよう、企業・劇団サイドからも文化庁に要請してください。「芸術創造活動重点支援事業」は平成17年度から公演ごとの支援に変わりましたが、申請手続き、評価、選定などが円滑かつ民主的に、公開性をもって行われるよう、文化庁に強く要請してください。
     また、伝統演劇の後継者育成、舞台美術スタッフの人材育成、劇団活動に対する公的施設の利用規制の緩和と設備の拡充、観客の料金負担軽減のための税制優遇措置などについても、行政などに支援を要請してください。
  2.  独立行政法人化「日本芸術文化振興会」の演劇文化への支援事業の縮小に反対するよう要求します。
  3.  労働災害を防止するため、万全の技術研修、製作所・劇場等の職場環境の整備を早急に実施するよう要求します。また、「安全衛生委員会」を必ず設けてください。
  4.  演劇文化の質的向上には、演劇人が演劇で自活できることが必要不可欠です。企業・劇団は、雇用条件・職場環境の改善に努力するよう要求します。
7. 平和と民主主義、国民生活向上に関する要求
  1.  9条をねらった憲法改悪に反対し、平和と基本的人権、言論・表現の自由を守るべき映画人として、「映画人九条の会」などと連帯して、ともに行動することを要請します。
  2.  イラクからの自衛隊即時撤退と、アメリカの一国覇権主義による戦争に加担しないよう、政府・与党などに要請してください。
  3.  社会保障制度の更なる改悪、消費税増税をはじめとする大増税政策、契約労働法制に反対するよう要請します。
以上