映演労連 '07 春闘方針

2007年2月5日 映演労連第1回中央委員会

憲法を守り、九条が活きる社会を!
格差を許さず、本気で要求を闘い取る07春闘を!

はじめに

 安倍首相は「自分の任期中に改憲する」と言い、改憲を参院選の争点にすると言った。そして改憲手続き法案を通常国会で成立させようとしている。ホワイトカラー・エグゼンプションは選挙対策で見送ったが、「労働ビッグバン」と称する労働法制の大改悪は出てくる。私たちは、なによりも「憲法を守りぬく07春闘」「格差を許さず、働くものの権利を守る07春闘」を展開しなければならない。

 経営者たちは大儲けを続けながら、働くものにそれを還元しようとしない。本気で要求を闘い取る春闘を展開しよう!

I. '07春闘をめぐる情勢

1. 政治・経済の情勢

 昨年秋誕生した安倍内閣は、「戦後レジーム」からの脱却を旗印に教育基本法改定を滞りなく行うと、米軍の世界的再編の一端を担う防衛庁の省昇格も粛々と実現させ、自衛隊の海外派兵を本来任務とし、PKOの武器の先制使用も言及し始めた。

 勢いに乗る安倍晋三は年頭の挨拶で、「安倍内閣での憲法改正」を宣言、野党第一党の民主党も「国民投票法案は争点にならない」と流しており、いよいよ憲法の改悪が秒読みに入った。

 しかし、官舎問題での本間税調会長が辞任に始まり、佐田行革相が事務所経費疑惑で辞任、同様の問題で松岡農水相・伊吹文科相の疑惑が浮上、久間防衛相のアメリカ批判、柳沢厚労相の女性差別発言も飛び出し、論功行賞的安倍の任命に批判が高まっている。

 さらに、財界主導で行われたホワイトカラー・エグゼンプション導入の目論見は、春の統一地方選、夏の参院選のサラリーマン層への影響を懸念した自民党により、今国会法案提出見送りというお粗末さを露呈した。

 昨年11月のアメリカ中間選挙では民主党が勝利し、12年ぶり上下院過半数を占めた。この結果ブッシュのイラク政策は、見直しを掛けざるを得なくなった。

 作年末、その流れに抗うようにフセイン元大統領に死刑判決が下り、法廷に対する疑念も消えぬまま数日後強行された。ブッシュの賞賛も空しく、現状では宗派対立に拍車を架ける結果となった。

 北朝鮮問題では6カ国協議を再開され、今後の動向が注視される。一方、非拡散条約非批准国インドの原発開発への参入を図り、インドの核保有は事実上容認し、仮想敵国の北朝鮮の核問題との扱いでダブル・スタンダードを顕にした。

2. '07春闘をめぐる経済界、労働界の動き

*日本経団連の動き

 いざなぎ景気を超えたと言われる「好景気」の中、日本経団連が発表した「07年経労委報告」。序文では安倍首相に倣ってか、「日本を『希望の国』にしたい」と述べている。そしてその中身は、働くものから夢と希望を奪うかのような財界の身勝手さばかりが際立つ。その論調は財界の独りよがりな理屈で構成されており、格差社会に関する記述では「規制改革による公正な競争社会のもとで経済的な格差を生むことは当然」とし、「再チャレンジ」と「セーフティ・ネット」によって生活保障と「競争力のある地域社会を形成」すれば良い、と断じている。

 ちなみに、経労委報告における賃金面のセーフティ・ネットとは地域最賃を指しており、産別最賃については廃止を訴えている。また、競争力のある地域社会とは「道州制の導入」による新たなビジネスチャンスのことを指し、さらなる競争原理を煽るために「公務員制度改革の必要性」も訴えている。

 企業間の収益格差と個人所得の格差を同じ土俵で表現する傲慢さに加え、生活保障の切り下げやさらなる競争社会の礼賛姿勢、ここに日本経団連の尊大な本質が見える。

 経団連会長である御手洗氏(現キャノン会長)は、自社の偽装請負事件も省みず、「派遣法については現場の実態に即した見直し」を求めるといった開き直りを見せ、企業の社会的責任とは程遠い姿勢を顕わにしている。

 さらに、労働界やマスコミからも「残業代ゼロ法案」「サービス残業合法化案」「過労死促進法案」などと反発される中、本通常国会では法案提出の見送りが表明された「ホワイトカラー・エグゼンプション」についても、いまだ声高に法案成立を唱えるなど、従来に比しても異常な不遜振りに、非難も集中している。

*連合の動き

 連合は、昨12月7日の中央委員会で07春闘方針を打ち出した。方針では格差拡大と二極化への危惧を強調し、労働分配率の歪是正を訴えている。

 具体的な取り組みとしては、「賃金カーブ維持分と物価上昇分を確保した上で」ベースアップや時給引き上げなど「昨年を上回る賃金改善」を投げかけたほか、賃金カーブ算定が難しい労組では7,000円以上の要求目安(昨年は6,500円)や、未組織を中心に全体底上げの方針を示した。

 しかし、連合としての統一ベア要求は6年連続で見送られている。その他、パート労働者に対する均等・均衡待遇実現、男女間の格差是正、実労働時間の削減を企図した時間外割増率のアップを投げかけている。

 なお、昨年1月の中執で憲法九条の取り扱いを巡って棚上げとなった憲法改正論議は、今年も進んだ気配はない。あいかわらず憲法論議は「時期尚早」ということであろうか。

*全労連、国民春闘共闘委員会

 全労連および国民春闘共闘は、「まもろう憲法・平和、なくそう格差と貧困、つくろう安全・安心な社会」をスローガンとする07春闘方針案を決定。情勢では「構造改革」のもとでの格差と貧困の拡大、財界主導の規制改革や公共サービス切り下げを指摘している。

 具体的な取り組みでは「誰でも月額10,000円以上、時間給100円以上」の賃金改善要求、労働法制改悪に反対し、働くルール確立のための100万筆署名運動、全国一律最賃制度の実現に向けたアピール行動、5月3日に予定する「憲法60年全国行動(仮称)」の具体化、など投げかけている。

 各職場へは、(1) 「戦争しない、参加しない日本」をつらぬく。(2) 働くルールを確立し、格差と貧困を是正する。(3) 安全安心な社会実現を重視した要求と運動の具体化。──を働きかけている。

*MIC

 3月15日には「07春闘勝利!憲法改悪反対!国民投票法案反対!労働法制改悪反対!」をスローガンとする昼デモと決起集会を開催する。その後は、夜の銀座デモ、MIC争議支援総行動など、例年の春闘行動を展開する予定。

 また、4団体(自由法曹団・JCJ・マスコミ関連9条連絡会・MIC)を中心に「改憲手続き法案反対共同行動プロジェクト」が立ち上っている。

3. 映画・映像産業の情勢

(1) 映画産業の情勢

 映連が1月30日に発表した「2006年映画統計」によると、邦洋の興行収入比は邦画53.2%(1077億5200万円)、洋画46.8%(948億200万円)で、20年ぶりに再逆転した。邦洋再逆転の要因は、ハリウッド映画の後退と、興収50億円超の作品が6本も出るなど日本映画の「健闘」である。

 しかし、興行収入は全体としては横ばい(2025億5300万円/前年比102.2%)、入場者数も1億6427万7000人(前年比102.4%)と微増で、2004年の1億7009万人を回復していない。

 スクリーン数は3062スクリーン(136増)で、シネコンが73%を占めた。しかし非シネコン館の閉館も相次ぎ、映画館ゼロ都市が増えている(2005年474都市/63.1%)。1スクリーン当たりの興収は、2004年7466万円→2006年6615万円と減少している。

 興収10億円以上の作品28本の興収合計は783億9000万円で、邦画興収の72.8%だ。日本映画の公開本数は417本だから、残り389本の平均興収は約7500万円になる(邦洋10億円超作品の合計は50本1524億8000万円で、全興収の72.3%)。

 20年ぶりの邦洋再逆転と言っても、興収と入場者数の横ばい、シネコンの急増と映画館ゼロ都市の増加、テレビ局を中心とした派手な宣伝映画のヒット集中、1スクリーン当たりの興収の減少など、日本映画の厳しい状況は続いている。

 東宝は興行会社を東宝シネマズに一本化しようとしており、非シネコン館の切り捨てが懸念されている。会社法による株の持ち合い解消に追われている東映は、今年に入ってバークレイズ・グローバル・インベスターズ信託銀行が東映株を7.85%買い占めるなどの不穏な動きが出ている。3月から社名を「角川映画」に戻す角川ヘラルド映画は、黒井社長が突然2月末で社長を辞めることになった。映画界は今年も不安要素がいっぱいである。

*映画の公的支援の状況

 文化庁の19年度予算案によると、「『日本映画・映像』振興プラン推進」の予算は22億2200万円で、前年とほぼ横ばいだが、中身を見てみると「魅力ある日本映画・映像の創造」予算は3億9500万円も減って8億1400万円となっている。「国内上映・映画祭の支援」も4600万円減って2億6600万円となった。増えたのは、新規の「メディア芸術振興総合プログラム」で、4億3900万円ついているが、こんなものは映画支援ではない。

(2) 放送界の現状

 06年は、全国規模で地上デジタル放送が開始され、地デジ普及エリアは日本全国世帯の84%(約3950万世帯)まで拡大された。しかし、アナログ放送打ち切り(2011年7月24日)までの、スケジュール優先での強引なデジタル化移行は、テレビ業界はもとより、私たち視聴者にとっても様々な問題を提起している。

 総務省の情報通信審議会は06年8月、2011年までの現アナログ放送エリアのカバー率は98%に留まると発表し、デジタル放送の難視聴地域がでることを明らかにした。

 また私たちは、好むと好まざるとにかかわらず、デジタル受像機の購入を余儀なくされる。年金生活者や生活保護世帯、低所得者層など、地域だけでなくデジタル視聴においても格差が生まれる危険性がある。

 民放連などの業界団体は、政府・自治体の公的資金の注入を、業界をあげて要請する方針を打ち出しているが、視聴者に対する支援をどうするのか、政府、家電メーカー、テレビ業界からは見えてこない。

 民放KEY局のテレビスポット収入は、5社そろって減収傾向となっており、この傾向は今後とも続くと予想されている。テレビ各局は、デジタル放送への巨額の投資のために、様々な業界への業務提携、投資などを行っており、放送外収入の拡大を進める中で、競争激化と業界再編が今後とも続くようだ。

 昨年6月の「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」により、07年は「放送持株会社制度」や「ワンセグ独立利用」といった規制緩和と、「NHK改革」を始めとした諸制度に関わる法改正が施される見通しだ。

 「放送持ち株会社制度」では、マスメディアの集中排除原則が緩和され、複数の放送局の経営統合が認められる。これにより、地方ローカル局の独自性、放送の多様性が失われ、デジタル化への投資の問題と併せ、地方ローカル局が淘汰される危険性が出てきた。一業者による多数のメディアの独占は、民主主義の根幹にかかわる問題として注視していく必要がある。

 昨年、最後まで抵抗していた沖縄の放送局が「指定地方公共機関」を受諾したことで、全国の放送局が有事体制に組み込まれた。

 また「NHK改革案」では、「受信料の義務化」「経営委員会」などが議論されているが、拉致問題での菅総務大臣による命令放送問題が起った。「NHK改革」が、権力の介入を許すものとならないよう監視していく必要がある。

(3) 映像ソフト業界の状況

 (社)日本映像ソフト協会の調べによると、2006年1月から11月までのデオソフト売上累計は2916億4000万円(93.2%)で、DVDビデオの売上は2863億400万円(前年同期比98.1%)、カセットが53億3600万円(同25.5%)と、鈍化が進んでいる。

 DVD市場はメディアの多様化、市場の飽和状態による流通在庫の増加などによる乱売などが影響し、売上が伸び悩んでいる。さらにパブリックドメインとなった作品の乱売などの影響も大きい。メーカーは新作のみのリリースだけでは厳しい為、特典等を付けたりDVD-BOX化にするなどの売り直しを余儀なくされているが、利益率が低い性質もあり、苦しい経営事情を抱えている会社も少なくない。

 Blu-rayディスクやHD DVDなどの次世代DVD機が家電量販店に出回り始め、それに連れソフトもリリースされ始めているが、フォーマット戦争加熱の影響で、販売台数が業界予想を大幅に下回っている。ここに来て韓国大手家電メーカーLG電子が両規格を読み取れるハードの開発に成功、規格の不統一によるユーザーの買い控えを払拭する「救世主」とみられているが、製造コストは高くなる故に、一般ユーザーへの普及へはさらに時間が掛かることが予想される。

(4) アニメ産業の状況

 日本国内でのアニメーター不足が続いている。原動画と仕上げなどのハンドワーク部門が中国など海外中心の今の制作体制では、現場でのアニメーター育成は困難だ。国内のアニメーターの低賃金、長時間労働を放置したままでは、問題の解決はない。

 そのようなかで昨年、アニメ専門学校の大手である代々木アニメーション学院が民事再生法を申請した。少子化による生徒数の減少と放漫経営が原因のようだが、学院の閉鎖は行われていない。

 一方では、日本動画協会が経済産業省の支援を受けて、アニメーターの発掘、育成を行う「アニメーター養成プロジェクト」を昨年10月から行なっている。

 テレビアニメーションでは、コアな購買層を狙って制作されてきた深夜枠放映作品のDVD発売がふるわなくなってきており、一時期週100作品近かったアニメ番組が今後は減少する、という関係者もいる。

 06年の興収10億円以上の邦画のうち、アニメーションは7本で、全体の30%近い226億円を上げた。

 アニメ制作会社の業績は、GHD(ゴンゾ)の16億円の赤字予想(3月期決算)をはじめとして、新興プロダクションの不振が目立つが、東映アニメーション、バンダイビジュアルなどが好調であり、アニメ業界も二極化がはじまっている。

4. 演劇界の情勢

 各ジャンルを俯瞰すると、演劇市場では興行的な成功を収める一部の作品と、そうでないものとの二極分化の傾向が強まっており、ジャンルでみるとミュージカル、お笑い、古典芸能の好調が続く一方で、現代演劇は低迷が続いている。

 ミュージカルの市場規模は未だに拡大を続けている。劇団四季は全国規模で動員拡大し続けている。全国9ヶ所の専用劇場が可能になっていることに加え、自前の俳優育成システムを確立していることにより、成長を持続している。

 宝塚歌劇も安定的な集客を見せている。海外招聘ミュージカルも好調だ。新規事業者の参入では、TBS「筋肉番付」から派生した筋肉ミュージカルが、2004年横浜に「マッスル・ミュージアム」をオープンさせ、年間60万人を動員している。

 古典芸能においては、市場の3分の2を占める歌舞伎が、大名跡の襲名による興行が盛況であった。しかし、大名跡の襲名興行も今後は予定されておらず、再び緩やかな逓減傾向に向かうことも予想される。新しい動向としては、他ジャンルとのコラボレーションがあげられる。

 しかし公演回数の高止まりが、稽古時間の短さとメンテナンスの不行き届きを招来し、舞台スタッフは大道具、小道具など過酷な労働条件を強いられ、後継者不足が慢性・深刻化している状況は改善されていない。

 現代演劇は低迷が続いている。プロデュース公演(独立のプロデューサーや興行資本が企画し個々に著名な俳優を集めて上演する興行形態)も、二極化の傾向がみられ、現代演劇というジャンル全体の市場規模を押し上げるまでには至っていない。また旧作の再演が継続する一方で、テレビ・映画の早期舞台化などによりリスクをヘッジしようとする動きもみられたが、市場全体の改善には至っていない。

 こうした状況下、新たな事業者の参入は一定のインパクトを市場に与えている。大手プロダクションの演劇界進出、劇場との結びつきの強化が顕著である。

 歌舞伎座改築に関しては2005年11月、松竹が「歌舞伎座再開発の検討・協議に入る」ことを東証に発表し、行政や関係先との折衝が継続している模様ながら、未だに正式な改築時期は明らかにされていない。映演労連、オール松竹、松竹労組の団体交渉を通じ、「2008年1月」という一定の目標が示されたが、これが遅れる可能性も否定できない。今後も代替劇場や従業員の処遇等含めて協議を継続していくことを確認している。歌舞伎座内に働く労働者は、契約者・パートを含めて数百名に達しており、代替劇場側との調整や工事期間中の雇用問題など、山積する課題の解決に向けては産別・地域レベルで力を傾注することが求められる。

 一方で東京・有楽町の東宝本社ビル再開発に伴って閉館した芸術座は、東宝新本社ビルに同規模の劇場として2007年11月にオープン予定である。劇団昴の拠点であった三百人劇場は、老朽化を理由に2006年12月末日をもって閉館した。

 演劇産業に対する公的支援は、平成19年度予算案では「最高水準の舞台芸術公演・伝統芸能等への重点支援等」が83億2400万円で、前年度より8億円減少した。内訳は「芸術創造活動支援事業」60億2100万円、「芸術祭の開催」3億6400万円、「優れた芸術の国際交流」19億3900万円となっている。

II. '07春闘の課題と取り組み

1. 憲法改悪阻止をめざす闘い

  1.  憲法改悪阻止の闘いを07春闘の中心課題に位置づけ、創意工夫した運動を展開する。各地区・単組で学習会を開き、一人ひとりがワッペン、署名、政治家やマスコミへのハガキ運動、集会・デモへの参加など、九条改憲に反対する意思をさまざまな形で表明する。
  2.  改憲手続き法案(国民投票法案)を阻止するため、全力を傾注する。
  3.  「九条の会」アピールを映画人、映画ファン、映画関係団体の中に広めるなど、「映画人九条の会」の発展に向けてよりいっそう努力する。各単組は、「映画人九条の会」への組合員加入を再度進める。
     3月24日(土)の「映画人九条の会・交流集会」(13:30〜文京シビックセンター4F・シルバーホール)を成功させる。
  4.  全国の「九条の会」、マスコミ関連九条の会連絡会、「憲法改悪反対共同センター」などと連携し、憲法改悪反対の全国的なネットワークを広げる。MICにも、憲法闘争についてもっと主体的な取り組みを求める。
  5.  5月3日「憲法60年全国行動」に参加する。

2. 大幅賃上げ、高額夏季一時金の獲得、諸要求実現の闘い

  1.  07春闘は、「単組ごとの春闘」から本格的な「産別としての春闘」をめざす。「映演労連'07春闘要求書」をいっそう充実させるとともに、映演労連団交を各単組の回答が出る前に行う。各労組の要求書はできるだけ早めに提出し(3月上旬)、スタート良く闘う。
  2.  「映演労働者に誰でも1万円以上」の産別底上げ要求基準に基づいて、多くの労組で賃上げ1万円台の復活をめざす。すべての時間給労働者に時給100円以上の賃上げを勝ち取る。各単組は、“要求は闘い抜いて勝ち取る”という気概で要求獲得をめざす。
     また産別最賃制(月額16万円、日額8,000円、時給1,000円=いずれもキャリア・ゼロの場合)を要求し、映演労連各社との協定化をめざす。成果主義賃金、裁量労働制などの導入に反対する。
  3.  夏季一時金の要求額は、「生計費原則」をもとに各労組で組合員が確信を持てる要求を作り上げ、粘り強く闘って高額生補金獲得をめざす。
  4.  非正規労働者の雇用と権利を守り、非正規労働者がまともに生活できる賃金をめざして、均等待遇、労働基準法適用、賃金・労働条件と雇用契約の改善を要求していく。特に劇場労働者、アニメ労働者の労働条件改善に取り組む。
  5.  07年の産別春闘の目玉になるような諸要求(制度要求)を掲げて闘う。今年はメンタルヘルス・ケアを取り上げ、有給休暇の消化と長時間労働の改善を要求する。また、高齢者雇用安定法に基づいて、希望者全員を対象とした60歳以降雇用延長を、映演各社で実施させる。
  6.  改正・男女雇用機会均等法を活用し、性差別禁止、間接差別の禁止、安心して妊娠・出産・育児ができる職場環境を作る。
  7.  3月中に「'07春闘勝利をめざす産別統一スト権」を確立して闘う(2月19日投票開始、3月16日集約予定)。
  8.  産別統一闘争を強化するため、3月15日「MIC昼デモ、MIC '07春闘決起集会」、3月30日「夜の銀座デモ」、4月13日「組織改革討論会(臨時大会)」、5月1日「第78回メーデー」、5月3日「憲法60年全国行動」などを【映演労連統一行動日】と設定し、全力で成功させる。
  9.  安全と安心を破壊し、格差社会、国民負担増をもたらす「構造改革」に反対し、「労働法制改悪反対」「消費税増税反対」などの各種集会・デモなどに積極的に参加する。
     4月の一斉地方選、7月の参院選は、「憲法を守り」「格差と貧困を是正し」「安全・安心な社会を実現する」という「3つの要求目標」を組合員に示し、主権者としての権利を行使することを呼びかける。

3. 「合理化」に反対し、職場と権利を守る闘い

  1.  「東映退職金カット裁判」闘争を全面的に支援して闘い、勝利をめざす。
  2.  映演労連フリーユニオン・ラピュタ支部の闘いを全面支援し、勝利解決をめざす。
  3.  歌舞伎座の建て替え(予定)による雇用危機に対しては、松竹労組、歌舞伎座事業労組、歌舞伎座舞台労組、歌舞伎座労組、そして松竹労連(オール松竹)を雇用確保の闘いの土台にし、映演労連全体に運動を広げる。
  4.  資本の勝手なM&Aを許さない闘いを進める。また、MIC争議団、全労連争議団の勝利をめざして、積極的に支援する。
  5.  重大なリストラ「合理化」攻撃があった場合には、緊急に産別統一スト権を立てて闘う。日ごろから経営チェック能力を高めるとともに、事前協議制を確立する闘いを進める。また、経営責任を厳しく追及する。「不当労働行為」には機敏に反撃する。
  6.  ホワイトカラー・エグゼンプションを断念させるとともに、就業規則による労働条件の一方的切り下げなどを内容とする労働法制の大改悪(労働ビッグバン)については、全力で反対し、全労連が提起している「労働法制の拡充を求める100万人署名」に取り組む(目標1400名)。
  7.  28期中央労働委員の不公正任命取消訴訟の控訴審闘争を支援する。

4. 映演産業の基盤拡充と文化発展をめざす闘い

  1.  日活撮影所の存続・リニューアルについては、日活経営陣との協議を申し入れる。松竹新撮影所建設については、都労委合意に基づいて新撮影所建設の早急な着手を要求する。
  2.  「邦洋逆転」という新しい事態の中で公的支援拡充の新たな方向性を探るため、映画政策委員会の活動を再開し、春闘前段で文化庁交渉を行う。
     また映画スタッフとアニメーターの活動実態調査の結果を映画・映像に働くものの社会的地位の向上に活かすため、特に厚生労働省との交渉を実現させる。
  3.  前期に設置した「演劇政策委員会」で検討を続けてきた「演劇支援要望書」を早期にまとめ上げ、文化庁との交渉を開始する。
  4.  「アニメ産業改革の提言」をアニメ関係者とアニメ業界に広め、大きな共同をめざす。また日本のアニメ労働者を「映演労連フリーユニオン」に組織するため、思い切った手を検討する。アニメーターの協同組合作りも模索する。
  5.  民放キー局要請行動については、当面オブザーバー参加とする。
  6.  歴史の真実を偽り、社会の現実をねじ曲げて国民の目を惑わす軍国主義的、右翼的な映画・映像・演劇については、毅然たる姿勢で批判して行く。

5. 平和と民主主義を守る闘い

  1.  憲法改悪阻止の闘いを中心に、平和と民主主義を守る闘いを進める。平和運動推進委員会の自主的な活動も強化する。
  2.  マスコミの報道を監視し、不公正報道には機敏に抗議する運動を進める。ジャーナリズムの復権と自律性を求めていく。言論・表現に対するテロ行為は、これを絶対に許さない。
  3.  戦争反対、憲法改悪反対などの大集会に積極的に参加する。ブッシュ大統領や安倍新政権などへの抗議行動を強化する。
  4.  治安維持法のような悪法である「共謀罪法案」、憲法を改悪するための「改憲手続き法案」の阻止に向けて行動を起こす。
  5.  ドキュメンタリー映画「もうひとつの日本を!」を積極的に活用する。

6. 組織強化と拡大の闘い

  1.  「映演労組」への組織転換をめざして、「組織改革委員会」は第3期の議論を進める。各単組・支部では「第二次討議資料」に基づいて職場討議を徹底して行う。また4月13日に、臨時大会形式で「組織改革討論会」を行う。
  2.  6月の厚労省組合員数調査時点で、映演労連1400名維持を実現する。
  3.  今期は、シネコンなどで働く劇場労働者の組織化を重点課題として取り組む。アニメ労働者の映演労連フリーユニオンへの組織化も、引き続き重要課題とする。
  4.  組合に入っていない契約社員、アルバイト労働者、フリー契約者、管理職労働者を「映演労連フリーユニオン」に組織していく。該当する単組は、十分な指導とバックアップを行う。
  5.  魅力ある組合づくりを進め、未加盟組合の加盟促進、未組織労働者の組織化、企業系列内での組織拡大などいっそう進めて、映演労連を中心にした産別の組識と運動をさらに前進させる。
  6.  また、映演労連内部の連帯強化をめざし、各労組間の交流や学習会、決起集会、映演労連青年部活動、文化部活動、平和運動などへの参加を強化する。映演労連女性連絡会の活動を復活させる。
  7.  映演労連として、07春闘中に「労働相談窓口」を設置する。
  8.  「映演労連カード」の切り替えを3月末までに完了する。

III. 産別スト権の確立

 07春闘でも産別スト権を確立する。高率での確立をめざす。

IV. 闘いの主なスケジュール

予定
2月 9日 大企業包囲東京行動(8:00〜品川駅港南口)
13日 東映裁判闘争を支援する会(18:45〜映演労連)
17日▲ 偽装請負・サービス残業一掃全国交流集会(12:30〜日本教育会館・一ツ橋ホール)
19日 産別スト権投票開始
21日 映演労連・東宝支部定期連絡会(19:00〜東宝支部)
3月 上旬 各労組要求書提出
6日 '07春闘第1次全国統一行動、「3.6安心できる雇用と賃金を!中央行動」
第5回東映裁判・弁論準備(11:30〜民事19部)
9日 映演労連第4回中執(15:00〜)、映演労連フリーユニオン執行委員会(18:45〜)
10日▲ 改憲手続き法反対シンポジウム(13:30〜社会文化会館)
14日 集中回答日
14日 '07春闘第2次全国統一行動、MIC昼デモ(12:15〜錦華公園)
MIC'07春闘決起集会 (18:30〜牛込箪笥区民ホール) 【映演労連統一行動日】
16日 産別スト権集約予定日
19日 第28期中労委任命取消訴訟・第1回東京高裁(13:20〜地裁前街宣、14:00〜高裁824号)
20日 イラク戦争開戦日行動
24日▲ 映画人九条の会・交流集会(13:30〜文京シビックセンター 4F)
30日 夜の銀座デモ(18:30〜銀座公園) 【映演労連統一行動日】
4月 12日 '07春闘第3次全国統一行動
13日 組織改革討論会 (臨時大会)
○○日 MIC争議支援総行動
5月 1日▲ 第78回メーデー (代々木公園)【映演労連統一行動日】
3日▲ 憲法60年全国行動 【映演労連統一行動日】
24日 全労連争議支援総行動
6月 1〜2日 ローカルユニオン全国交流集会
以上