映演労連 '09 春闘方針

2009年1月26日 映演労連第1回中央委員会

未曾有の経済不況から労働者を守る09春闘を!

I. '09春闘をめぐる情勢

1. 政治・経済の情勢

 08年のアメリカ発のサブプライムローン破綻による金融恐慌は、9月のリーマン・ブラザースの経営破綻を契機に、とどまるところを知らない世界同時株安を引き起こした。この金融恐慌は1929年の世界恐慌以上の世界的な経済不況になると、多くの経済学者が指摘している。

 今回起こっている嵐のような経済不況は、当然ながら日本企業の経営危機を招き、08年暮れから09春闘にかけ実体経済の大不況となって、私たちに襲いかかってきている。08年の全国企業倒産は15,000件を超し、そのうち上場企業は33件と戦後最多を記録した。トヨタをはじめ、キャノンなどの大企業が率先して大規模な派遣労働者や期間従業員の雇い止めを行ったことで、企業による「派遣切り」が全国規模で広がった。厚労省の発表によると、09年3月までに85,000人の雇用が失われ、その96%が製造業に働く労働者とのことである。こうした流れは、非正規雇用労働者に限らず、日本IBMの1000人にも及ぶ退職強要など、正規労働者にも及んでいる。

 この未曾有の経済不況の影響は、映画・演劇産業に働く私たちにとっても無縁ではない。むしろ経済不況が続けば、娯楽産業である私たちを直撃することが予想される。また、民放、出版、広告、新聞といった映画・演劇と密接に結びついている産業の落ち込みも、私たちにとって深刻な状況を生み出している。

 2月から3月の決算期を迎え、多くの企業が持ち株の下落による評価損を計上し、例え商売上は黒字であっても、減益になるか赤字に転落することが予想される。企業倒産や不採算部門の縮小・閉鎖、リストラ「合理化」、業界再編などが起こるだけでなく、個別の争議が多発し、大型争議が起こる可能性もある。

 一方、08年12月31日から09年1月5日にかけて日比谷公園で行われた「年越し派遣村」には、500人もの雇用が失われた人たちが集まり、マスコミで大きく取り上げられるなど、社会問題化した。大企業の非情な「派遣切り」に対する国民の怒りの中で、政治による「派遣切り」の規制強化を求める声も高まっている。またこの間、全国で29組織、600人の非正規雇用労働者が労働組合を立ち上げるなど、労働者の反撃も始まった。

 240兆円もの内部留保をため込む中での大企業による身勝手な「派遣切り」の実態が明らかになり、企業の社会的責任を問う声が強まっている。「内部留保を使って雇用を守れ!」、不況打開は「外需主導から内需拡大への政策転換」という国民世論の高まりは、麻生首相自ら1月9日の衆議院予算委員会で「内部留保を活用した雇用確保を企業側に要請する」と表明せざるを得ない状況となっている。

 今回の大企業による非正規労働者の大量解雇に対して、使い捨て労働を規制するための派遣法の抜本改正、社会保障によるセーフティ・ネットの整備を求める声も強まっている。

 09春闘は厳しい情勢の下での闘いになるが、だからこそ労働組合の存在が問われる春闘となる。一人ひとりの要求を出発点に、労働組合に結集し団結を強めることで雇用と労働条件を守っていく必要がある。

 しかし、一企業の企業内闘争だけでは、この厳しい情勢をはね返すまでには至らない。この経済不況に立ち向かうために私たち映演労連は、09春闘で「未曾有の経済不況から労働者を守ろう」「大企業は内部留保を取り崩して雇用を守れ!」「削減した社会保障制度の復活」を旗印に産別結集を呼びかけながら、国民春闘共闘、全労連などの仲間とともに、政府に対して「ルールある市場経済」「外需から内需拡大」への政策転換を求める闘いを進めたいと思う。

 また平和の問題では、昨年暮れから1月にかけ、イスラエルによるガザ地区への大規模な空爆や地上戦などで多くの民間人が犠牲になっている。泥沼化するアフガニスタンの内戦やチェチェンでも戦火は続いている。ソマリア沖への自衛隊の海外派兵の問題など、なし崩し的な9条改憲の動きも出てきている。平和問題についても学習を深めて取り組んでいこう。

2. '09春闘をめぐる経済界、労働界の動き

*経済界の動き

 日本経団連の御手洗会長自身が会長を務めるキャノンでも1千人以上の非正規切りを発表し、今春までの全国の非正規切り計画は8万5千人以上と報じられている。その経団連が昨年末に発表した経労委報告では、現状を石油ショックとバブル崩壊に続く第三の危機としながら、雇用問題については「安定に努力」「政府支援が不可欠」と、反省の弁どころか具体的な展望をしめすこともなく、雇用責任の放棄とも取れる方針を掲げた。また、「ベースアップは困難な企業も多い」などとして、昨年方針から大きく後退する姿勢を示した。

 しかし、大企業の内部留保(約240兆円)や労働組合の反撃などがマスコミで連日のように報じられる中、年明けには「製造業への派遣については見直しが」と“禁止”こそ否定したが、初めて言及。1月15日には連合との首脳懇談で「雇用確保」を主眼とする共同宣言を発表している。ただし、ベアに対する消極姿勢には今なお固執している。

*年越し派遣村

 昨年12月31日から年明け5日まで、日比谷公園内に派遣村が開設され、最終的には約500名の労働者が身を寄せた。派遣村は反貧困ネットワークなどが中心に呼びかけたもので、20団体の実行委員会で実施され、年末年始の報道は派遣村一色に染まった。支援に駆けつけたボランティアは1700名、大量の支援物資のほか、集まった支援金は4千万円を越えた。

 生活保護を求めた200名以上の入村者に対しては異例の速さで支給が決定、行政による小口融資などのほか、2日には厚労省も講堂を開放するなど異例の緊急措置を取った。

 また、実行委員会には連合、全労連、全労協などこれまでの垣根を越えた参加によって共同行動が取り組まれ成功を収めている。

*全労連と国民春闘共闘

 全労連と国民春闘は「貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会」をスローガンとする09春闘方針を確立した。

 内需拡大による景気回復の立場から、賃上げ要求目標は、(1) 各組織に対し「定期昇給分」「物価上昇分」「90年代後半からの賃金改善分」の3点に留意した要求討議を呼びかけ、(2) 統一要求目標として「だれでも月額1万円以上」「時給100円の賃上げ」の賃金底上げ、(3) 最賃要求としては、従来の月額15万円要求を見直し、「時給1000円、日額7500円、月額16万円」──を提起している。

 雇用問題では昨年11月の緊急幹事会で雇用対策本部の設置を決定した。組織拡大では今年11月21日の全労連結成20年を過去最大の組織人員で迎えるべく、各組織に目標と計画設定を呼びかけている。

*連合

 連合、は昨12月2日開催の中央委員会で「物価上昇に見合うベースアップの獲得」などを掲げ、8年ぶりとなるベア要求を含む09春闘方針を決定した。「賃上げこそ最大の景気回復」とした定昇プラス物価上昇分の(約1.5%)ベア獲得は昨年要求額の倍増を意味する。年末には高木会長自ら、製造業への派遣拡大に加担したことへの反省の弁が大きく報じられるなど、従来の流れに変化も生まれている。

 1月15日には経団連との首脳懇談会で雇用確保を目指す「共同宣言」を発表し、春闘交渉の口火を切ったものの、ベアに否定的な経団連の姿勢を崩すには至らなかった。

3. 映画・映像産業の情勢

(1) 映画産業の情勢

*概況

 映連の発表によると2008年の映画館入場人員は1億6049万1千人(前年比98.3%)、興行収入は1948億3600万円(前年比98.2%)。入場人員・興行収入ともに前年を下回った。

 スクリーン総数は前年比138増で3359スクリーン。23サイト213スクリーンの新規オープン、一方閉館は80スクリーン前後で、総スクリーンに占めるシネコンの割合は80%を超えた。

 しかし、飽和状態が叫ばれつつも新規開発と閉館が繰り返される中、スクリーン数増加と動員の横ばいという数年来のマイナス基調が継続し、1スクリーン当たりの興行収入は6000万円を割り込む見通しである。家賃、映画料、人件費負担に圧迫され赤字決算の会社も増えている。当初計画通りの投資回収が見込めず、減損処理を行って親会社が特別損失を計上するケースもある。無軌道な開発競争のつけが、シネコン各社に重くのしかかっている。

*1社寡占

 そうした中で数年来続く東宝の独り勝ちの様相はますます加速し、ついに年間興行収入739億1千万円となり、07年に引き続き新記録を大幅更新した。興収10億以上の作品が21本。150億円を稼ぎ出した「崖の上のポニョ」や「劇場版ポケットモンスター」(48億円)を核に、「花より男子ファイナル」(77億円)、「20世紀少年」「マジックアワー」(ともに40億円)なども貢献している。基調は民放キー局企画作品であるが、他社が苦戦を強いられている独自企画の単館拡大興行でも「デトロイト・メタル・シティ」が20億を超えるなどヒットのバリエーションが一層広がっている。

 興行収入2位のワーナーは163.9億円、以下松竹(160億円)、東宝東和(141億円)、東映(119.7億円)と続く。

*洋画の不振

 一方不調が際立ったのはメジャーを含む洋画各社で、08年の邦洋の興収比は邦画59.5%:洋画40.5%となり、再逆転した。邦画は1158億5900万円(前年比122.4%)で、洋画は789億7700万円(前年比76.1%。08年は興行収入50億円を超える作品は、ユニバーサル・ピクチャーズ・エンターテインメントの「インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」(57億1千万円)、東宝東和「レッドクリフ Part1」(50億円)の2本という状況であった。

 若者の洋画離れも進んでいる。メジャー会社によるローカルプロダクションもつまずいており、洋画の不振は深刻である。09年には大作が控えているが、予断を許さない。

*民放各局の経営悪化と製作費削減

 近年積極的な映画業界への参入を続けてきた民放キー局は、軒並み業績が悪化し深刻な事態を迎えている。08年中間期は5局すべてが営業利益ベースで大幅減益、日本テレビ、テレビ東京がそれぞれ37年ぶり、33年ぶりに赤字計上となった。業績が好転する兆しも見られない上、2011年の完全デジタル化への負担も加わり、今後の見通しは非常に厳しい。こうした中、各局は制作費削減の傾向は一層拍車がかかることが懸念される。

*製作本数の減少

 2008年の公開本数は邦画418本(前年比11本増、洋画は388本で15本減)だったが、今年は不況によって映画の製作本数の減少は避けられない情勢で、制作会社やフリーランスの技術スタッフは失業の危機にさらされる。製作本数の減少が長期化・慢性化すれば、産業全体が土台から崩壊する危険性を孕んでいる。

*業界の資本再編

 日本テレビは1月22日、日活株を34%取得すると発表した。

 インディペンデント系映画会社の経営環境も悪化している。資本の再編の動向は止まらない。07年には博報堂DYメディアパートナーズが東芝エンタテインメント株式を取得し、ショウゲートが設立されるというトピックがあったが、08年4月ギャガ・コミュニケーションズは映画の買い付け、製作事業からの撤退を表明、7月からは配給・ビデオ、テレビ、海外セールスの受託会社となった。

 シネカノンは9月末アミューズシネカノンを完全子会社化するとともに総合人材サービス会社ヒューマントラストホールディングスとの業務提携を進め、「アミューズCQN」「シネ・アミューズ」の命名権を同社に譲渡。パチンコ機器メーカーのフィールズと映画投資会社を設立した。性急とも思われる体制変革の中、映演労連フリーユニオン・アミューズシネカノン支部が結成され、職場環境・労働条件の整備の交渉が続いている。

*スタジオ事業

 東映は総工費52億円を投じ、東京撮影所内に新ステージ棟と、東映ラボ・テックと共同運営するデジタルセンター棟を新規建設する計画を発表、新ステージは2009年11月末、デジタルセンター棟は2010年5月末にそれぞれ竣工予定である。

 東宝も第二次スタジオ改造計画を進めている。ダビングステージ、アフレコステージ、編集室、試写室などが入る新しいポストプロダクションセンターと、新ステージ2棟、新スタッフルーム2棟を総額50億円をかけ、2010年夏竣工予定で建設する。

 松竹は、松竹京都映画を完全子会社化し、名称を「(株)松竹京都撮影所」とした。立命館大学映像学部との連携とともに進めていた施設のリニューアルは、2009年3月10日竣工予定である。

*公的支援

 平成21年度より、文化庁の助成事業と日本芸術文化振興基金の助成事業が「一元化」される。21年度の映画振興予算は20億8700万円(メディア芸術振興費5億4200万円)で、ほぼ前年並みである。「映画製作への支援」については「芸術創造活動特別推進事業」の中から振興基金に8億7400万円を補助金として拠出し、振興基金が行うこととなった(額も本数も減少)。

 昨年9月の映演労連との交渉で文化庁担当者は、「従来の文化庁助成事業についていた条件を撤廃し、使い勝手は良くなる」と語ったが、一方で会計監査院法の改正にともない、会計監査院が直接助成先を監査できるようになっており、「場合によっては返却が求められることもある」というような状況でもある。

 また「審査」のあり方については「新たな基準は作らず、従来通り専門家に依頼する」との方針であるが、助成作品の決定は文化庁が内定し、振興基金が採択するという要綱になっている。映画「靖国」の例もあり、その独立性が保持できるか注視が必要である。

(2) 映像、テレビ、ソフト業界の状況

 日本映像ソフト協会がまとめた08年11月時点での売上速報によると、映像ソフト全体の売上は約2,561億円(前年度対比88.5%、ともに1〜11月累計前年比)と減少傾向が続き、ついに9割を割りこんだ。動画配信やVOD、IP放送などのメディアが多様化し、飛びぬけたDVDタイトルも減ってきており、DVD市場の苦戦が強まっている。08年11月22日には、大手ソフト会社であるジェネオンエンタテインメントの株式が、親会社である電通から米国NBCユニバーサルの一部門であるユニバーサル・ピクチャーズ・インターナショナル・エンターテイメント(UPIE)に株式の大部分を譲渡する契約を締結。今年2月にも日本法人のユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンと合併、商号も変更することになった。

 VHSのハード自体は日本ビクターが昨年10月に生産を中止し、在庫が無くなり次第メディアとしての役目を終えることになった。ソフト流通の主要拠点であるレンタル店も、TSUTAYAやゲオなどの大手チェーン店にほぼ収斂されつつあり、店舗数の減少化に繋がっている。

 次世代メディアにおいては、昨年2月19日の東芝によるHD-DVD市場撤退宣言により、規格争いに終止符が打たれ、ブルーレイに事実上規格統一が図られた。それによりブルーレイ対応ソフトも徐々に出始めているが、DVDに比べても若干割高で、かつハードの普及が進んでいないせいもあり、セルおよびレンタル市場についてもこれからの成長が期待されている。

 メーカーを中心とした録画機買い替え需要の促進を目的に、7月4日にはダビング10対応の録画機を送り出したが、ダビング10自体の魅力がさほど無く、また著作権者との「私的録音録画保証金制度」の議論がまとまっておらず、迷走状態が続いている。

 インターネット回線を使った動画コンテンツの配信サービスについては、まだテレビ単独で視聴できる機器が普及しておらず、セットトップボックスなど外付けの方式を利用しないと視聴することが出来ない。最近ではパナソニックやソニーなどのメーカーが出資して作った有料動画配信サービス「アクトビラ」をダウンロード視聴できるブルーレイ・レコーダーなどを発売している。

 テレビに関しては2011年7月24日に地上波アナログ放送の停波が決まっているが、現在地上波デジタルを視聴可能世帯は全体でも5割に満たず、また景気後退によりデジタルテレビへの買い替えも目標値に達していない。そのため予定通り停波すると多くの「地デジ難民」が出ることが予想されている。そのため、全国のケーブルテレビ局でのアナログ配信のみ、7月24日以降もアナログ放送を視聴できるようにすることが一部新聞紙上によって報道された(総務省は否定している)。

 民放キー局の5社の08年9月の中間決算の数字は、景気悪化で利益率の高いスポット広告収入が大きく落ち込み、3社が最終減益、日本テレビとテレビ東京の2社が赤字になった。日テレは半期で37年振り、テレ東は中間連結決算の集計を始めてから初の赤字。全社が期初の最終利益予想を下方修正し、合計最終利益は前期比48%減の275億円と半減する見通しになった。売上高は、日テレを除く4社が増収で、音楽・出版・映画などの放送事業外収入の伸びが広告収入の落ち込みを補う形になった。この業績不振を受け、フジ・メディア・ホールディングス以外を除く4社が役員報酬を削減している。

 また、広告収入の伸び悩みがもとで、各局とも番組制作費の大幅なカットが行なわれており、制作現場への皺寄せが起きている。特にバラエティーやドラマの視聴率低下が著しく、子会社や関連会社、あるいは下請けの番組制作会社などの経営を圧迫している。

(3) アニメ産業の状況

 昨年12月末段階での地上波テレビアニメシリーズは、一週65本まで激減した。そのうち再放送の9本を除けば、新作で作られているテレビアニメは54本と、最盛期の約半分の仕事量にまで減ったことになる。今年4月以降の春の番組改編でテレビ局の業績悪化により、さらなる番組制作費枠減が予想されることから、地上波アニメ番組は時間帯の変更や本数減が続くものと予想されている。

 一方劇場作品は、正月興行のベストテンに「劇場版MAJOR メジャー/友情の一球」「映画!たまごっち/うちゅーいちハッピーな物語!?」「劇場版BLEACH ブリーチ/Fade to Black 君の名を呼ぶ」(1月3日から4日全国動員集計)の3本の劇場作品が入るなど安定した強さを見せている。

 昨年9月、「GDH」(ゴンゾディメィーションホールディングス)が経営悪化により「いわかぜキャピタル」に買収され、実質的に投資ファンドが管理する会社となった。10月には「テレビ朝日」が、アニメ制作会社である「シンエイ動画」を完全子会社化したため、殆どの大手アニメ制作会社が親会社を持つ制作プロダクションとなった。

 地上波テレビの作品減とDVD販売の落ち込みによる右肩下がりの状況と、世界同時不況というダブルパンチをうけたアニメ産業だが、映像配信、BD(ブルーレイディスク)とも、DVDに代わるメディアに育っていない。

 テレビ放映に依存しないビジネスモデルを模索し、本業回帰を口にする経営者も出て来てはいるが、疲弊した製作現場には眼が向かないようだ。昨年10月から日本動画協会が経済産業省の支援を受けた「アニメーター要請プロジェクト」が行われているが、即戦力の原画マン不足は続いている。

 1月14日に東映アニメが業績の下方修正を発表したが、有価証券の評価損を25億3900万円出したため、単体で26億円の経常を出したにもかかわらず、当期利益2億円の赤字となるなど、世界的な金融不況の波がアニメ界にも押し寄せている。

4. 演劇界の情勢

 商業演劇の状況は、昨年暮れに新宿コマが閉館し、東京の大きな興行場がなくなった。現場の従業員たちは、まだ事後処理に終われているが、中でも舞台スタッフは、今後の就業について厳しい選択を強いられている。会社側が提示してきた内容は、舞台以外の職への転職斡旋が中心になっている。

 また歌舞伎座改築が正式に決まり、来年4月をもって現歌舞伎座は取り壊し、新築する事になった。松竹は今月から来年の閉館に向けて、「歌舞伎座さよなら公演」と銘打って興行利益の増加をもくろんでいる。

 大阪の新歌舞伎座も今年6月の公演をもって閉館、来年夏に場所をかえて新劇場を建てることになった。

 新国立劇場では、演劇分野の芸術監督任命をめぐって紛糾が続いている。国立劇場は、この半年の中で上演作品に大きな変化を見せている。かつての、実験公演的な古典歌舞伎の研究公演が多かったのが、興行成績をあげる事を目的とした商業的な演目の立て方になってきている。12月に遠山の金さんを題材にして上演した「遠山桜天保日記」などはその典型であろう。国立劇場の独立行政法人化への準備とも見ることが出来る。

 また赤坂ACTシアターが開館し、TBSが劇場運営にも乗り出しなどテレビ局の舞台制作が活発化してきている。小劇場では、シアタートップス、シアターアプル、ベニサンピットなどが相次いで閉館した。

 演劇への公的助成は「赤字補てん」を前提とし、補助対象経費の3分の1、かつ「自己負担金」の範囲内ということになっている。この助成システムが、劇団の経営をかえって苦しめている。21年度文化庁予算案は映画と同じく「一元化」されたが、舞台芸術公演などへの支援額は、前年より約4億円も減少している。

II. '09春闘の課題と取り組み

1. 「ルールある市場経済」「外需から内需拡大」への政策転換をめざす闘い

  1.  経済不況を口実にした雇用破壊を許さず、政府の「構造改革」路線に反対し、「ルールある市場経済」「外需から内需拡大」への政策転換、大企業の社会的責任を追及する。
     全労連や国民春闘共闘委員会が提起する行動に最大限参加するとともに、映演労連としても「経済不況による雇用破壊阻止と政策転換を求める要請書」(別紙)を、内閣府、厚労省、日本経団連などに提出する。また、同様の趣旨の要請を、各単組による要請FAX行動として取り組む(一斉集中日を2月13日とする)
  2.  1月28日の「09国民春闘決起集会」に参加し、2月13日の「貧困・生活危機突破、雇用確保中央行動」を「映演労連統一行動」として位置づけ、3月5日09春闘総決起中央行動、3月12日「09国民春闘統一行動(映演労連統一行動)」「MIC '09春闘決起集会」につなげていく。
     3月19日には、経済問題をテーマにした「映演労連09春闘セミナー/講師は埼玉大学経済学部教授・相沢幸悦氏(映演労連統一行動)」に取り組み、3月27日「夜の銀座デモ(映演労連統一行動)」、3月23日頃全労連春闘回答追い上げ統一行動、4月中旬の回答追い上げ全国統一行動、5月1日「第80回メーデー(映演労連統一行動)」などの行動に積極的に取り組み、産別統一行動を強化して闘う。
  3.  「産別統一スト権」を確立し、3月12日の09国民春闘統一行動に合わせて、映演労連も経済不況による雇用破壊阻止と経済政策転換を求める10分間の産別統一ストを行う。
     その意思統一と準備のために、オルグ、教宣活動を積極的に展開する。
  4.  予想される総選挙には、「ルールある市場経済」「外需から内需拡大」への政策転換を柱に、格差と貧困を拡大した「構造改革」路線と改憲路線転換のチャンスと捉え、組合員に争点を訴え、主権者としての権利を行使するよう呼びかける。

2. 賃上げ、夏季一時金、諸要求実現の闘い

(1) 09春闘は、本格的な“産別春闘”で要求実現をめざす

  1.  09春闘の経済闘争こそは「単組ごとの春闘」から脱却して、本格的な「産別春闘」を展開し、要求実現をめざす。
  2.  映演労連団交を各単組の賃上げ闘争とリンクさせ、各単組の回答が出る前に行う。必要に応じて単組団交に映演労連役員が参加する。各労組の要求書はできるだけ早めに提出し(2月下旬か3月初旬)、スタート良く闘う。
  3.  国民春闘共闘の回答指定日は3月11日だが、映演労連の賃上げ一斉回答指定日は今年も現実的に4月16日(木)に設定し、各経営に一斉回答を迫る。また、妥結日も揃えるよう努力する

(2) 09春闘の基本要求

  1. 「映演労働者に誰でも10,000円以上」の産別賃上げ要求に基づいた大幅賃上げ、すべての時間給労働者に時給100円以上の賃上げを勝ち取る。
     一時的な「利益減少」に惑わされず、内部留保や溜め込んだ資産、含み資産を明らかにするなど正確な経営分析に基づいて賃上げ、一時金の抑え込みをはね退ける。
  2.  産別最賃制は、月額16万円、日額8,000円、時給1,000円(=いずれもキャリア・ゼロの場合)とし、映演各企業との協定化を迫る。企業内最賃制の確立を各単組の春闘要求書に盛り込む。
  3.  「映演労連'09春闘要求書」を充実させるとともに、新たに「産別統一労働協約案」を作成して締結交渉を進め、映演産業の労働諸条件、諸制度の均一化と底上げをめざす。
  4.  「派遣切り」や期間契約の雇い止めを許さず、非正規労働者の雇用と権利を守る闘いを前面に掲げる。非正規労働者がまともに生活できる賃金をめざして、均等待遇、労働基準法適用、賃金・労働条件と雇用契約の改善を要求していく。
  5.  09春闘アンケートの長時間労働などの結果を重視し、長時間労働とサービス残業の解消をめざす。またワーク・ライフ・バランスを就労の原則にさせる。

3. 「合理化」に反対し、職場と権利を守る闘い

  1.  歌舞伎座の建て替えによる雇用危機に対しては、松竹労連(オール松竹)を闘いの土台にし、映演労連全体で取り組む。
  2.  映演各企業の経営危機に対しては機敏に対応し、雇用と職場の確保を第一に闘いを構築する。リストラ「合理化」攻撃があった場合には、産別統一スト権を立てて闘う。
  3.  各企業ごとの経営分析・対策会議を継続する(次回は松竹)。日ごろから経営チェック能力を高めるとともに、事前協議制を確立する闘いを進める。また経営責任を厳しく追及する。
  4.  経営者の横暴を許さない闘いを進める。映演労連フリーユニオンのラピュタ支部、アミューズシネカノン支部の闘いを全面支援し、アスクメディア解雇事件など多発する個人争議の解決にも全力を傾注する。
  5.  MIC争議団、全労連争議団の勝利をめざして、積極的に支援する。
  6.  労基法違反、労働契約法違反、派遣法違反などの違法・脱法行為の一掃を目指す。また、労働者派遣法の抜本的な改正を求めていく。

4. 憲法改悪阻止と、平和と民主主義を守る闘い

  1.  憲法改悪阻止の闘いを09春闘の中心課題に位置づけ、それを中心に平和と民主主義を守る闘いを創意工夫して進める。
  2.  現行憲法の意義や、9条を死滅させる「海外派兵恒久法」の危険性を学ぶため各地区・単組で学習会を開き、一人ひとりがワッペン、署名、政治家やマスコミへのハガキ運動、集会・デモへの参加など、九条改憲に反対する意思をさまざまな形で表明する。オバマ米大統領に手紙・メールを送る運動を展開する。
  3.  「九条の会」アピールを映画人、映画ファン、映画関係団体の中に広めるなど、「映画人九条の会」の発展に向けてよりいっそう努力する。各単組は「映画人九条の会」への組合員加入を再度進めるとともに、会社・事業所・職場ごとに「映画人九条の会・○○」を作る。
  4.  平和運動推進委員会の自主的な活動を強化し、春闘前半にも映演労連の反戦平和イベントを実施する。
  5.  地球温暖化防止にむけて、労働組合としても行動する。DVD「地球の温暖化をとめて」を活用して学習を進める。「環境にやさしい働き方(グリーンジョブ)」を各経営に求める。

5. 映演産業の基盤拡充と文化発展をめざす闘い

  1.  映画への公的助成を口実にした政治介入を排除し、映画の表現の自由を守り、公正な助成を取り戻すため、映画界の先頭に立って行動を起こす。
     また公的支援の「見直し」や後退を阻止するため、多くの映画人、映画団体と共同して闘う。
  2.  映画振興要望書の背景となる運動を強化するため、日映協やアニメーター演出協会、映職連、映連などとの懇談を行う。製作・配給・興行の現場で働いている組合員を集めた部門別会議や産業政策委員会を行う。
     その活動の成果を活かし、5月段階で文化庁交渉や映連交渉などを行う。また映画スタッフとアニメーターの活動実態調査の結果を映画・映像に働くものの社会的地位の向上に活かすため、特に厚生労働省との交渉を実現させる。
  3.  「演劇政策委員会」で作成した「2007年演劇文化振興に関する要望書」を見直し、文化庁との交渉を開始する。
  4.  「アニメ産業改革の提言」をアニメ関係者とアニメ業界に広め、大きな共同をめざす。「日本アニメーター・演出協会(JAnicA)」とも接触を試みる。
  5.  放送局の一方的な番組製作費削減や権利剥奪など、放送局と番組制作会社の不公正な支配関係の改善をめざして行動する。

6. 組織拡大と組織改革の闘い

  1.  6月の厚労省組合員数調査時点で映演労連1400名の組合員をなんとしても維持し、増勢をめざす。
  2.  映演労連フリーユニオンの拡大に全力を傾注し、100人の組合を目指す。2月6日の「確定申告講習会(19:00〜文京区民センター3C/講師・浦野広明)を成功させる。
  3.  個人加盟方式の単一組合「映演労組」への組織転換をめざす活動は、第1次、第2次アンケートの結果を生かして、組合員に直接届く教宣活動を徹底して行う。組織改革委員会からの「訴え」を全組合員に届ける。
     またワーキングチームを作り、「映演労組」化の具体的検討と、単組の専従役員に頼った活動から脱却するための財政強化策を検討する。

III. 産別スト権の確立

 09春闘では産別スト権を確立して闘う。高率での確立をめざす

IV. 闘いの主なスケジュール

予定
1月 28日 09国民春闘決起集会(18:45〜中野ゼロホール)
2月 2日 ラピュタ都労委第5回調査(13:30〜都庁34F)、産別スト権投票開始
6日 確定申告講習会(19:00〜文京区民センター3C/講師・浦野広明)
12日 映演労連フリーユニオン執行委員会(18:45〜)
13日 国民要求実現2・13中央行動(12:00日比谷野音集会、13:20各省庁要求行動、
14:20銀座パレード、16:00経団連包囲行動)、政策転換要請FAX集中日 【映演労連統一行動】
14〜15日 舞芸09春闘学習会
17日 映演労連第4回中執(14:30〜映演労連)
26日 スト権集約日
3月 2日 映演労連中央闘争委員会(18:45〜文京区民センター3D)
5日 09春闘総決起中央行動
11日 集中回答日
12日 09国民春闘統一行動、映演労連産別統一ストライキ(10分間)
MIC'09春闘決起集会(18:30〜四谷区民センター) 【映演労連統一行動】
13日 MIC昼デモ(12:15〜お茶の水・錦華公園)
16日 ラピュタ都労委第6回調査(15:00〜都庁34F)
17日 アスクメディア第2回労働審判(15:30〜東京地裁民事11部)
19日 映演労連09春闘セミナー(18:50〜文京シビック・シルバーホール)
 講師: 埼玉大学経済学部教授・相沢幸悦氏 【映演労連統一行動】
23日頃 全労連春闘回答追い上げ統一行動
27日 夜の銀座デモ 【映演労連統一行動】
4月 2日 映演労連第17回執行委員セミナー(18:50〜文京シビックホール会議室)
3日 MIC争議支援総行動
16日 映演労連回答指定日
20日の週 回答追い上げ全国統一行動
5月 1日 第80回メーデー 【映演労連統一行動日】
以上