2010年 ●月 ●日
●●●●株式会社
代表取締役社長 ●●●● 殿
映画演劇労働組合連合会
中央執行委員長 河内 正行

2010年春夏闘要求書

 私たち映画演劇労働組合連合会(映演労連)は、本年1月26日に第1回中央委員会を開き、以下の通り2010年春闘要求を決定しました。
 映演労働者の労働条件改善と映画演劇産業の発展のため、貴社との団体交渉を申し入れるとともに、早急に誠意ある回答を要請します。

1. 本要求書と、映演労連傘下の●●労働組合より提出される2010年春闘要求書について、誠意をもって答えるよう要請します。
 なお映演労連は、本年度の回答指定日を4月15日(木)に設定しましたので、各社とも4月15日に回答されるようお願いいたします

2. 賃上げと労働条件改善に関する要求
  1.  日本の景気回復は個人消費の伸びが鍵を握っています。働くものの生活安定と消費拡大、映演労働者の賃金の底上げをめざして、映演各社とも積極的な賃上げを行うことを強く要求し、すべての映演労働者に10,000円以上の賃上げを行うよう要求します。また、すべての時間給労働者に「時給100円以上」の引き上げを行うよう要求します。
  2.  映演産業の産業別最低賃金と企業内最低賃金を、月額160,000円以上、日額8,000円以上、時給1,000円以上(=いずれもキャリア・ゼロの場合)とし、企業内最低賃金協定を締結するよう要求します(映演労連10春闘の重点要求)
  3.  定期昇給を制度化している企業については、一方的な改悪は行わず、定期昇給を維持するよう要求します。
  4.  別紙提出の「産別統一労働協約案」「パワハラ防止規定案」に基づき、貴社と映演労連との統一労働協約の締結を要求します(映演労連10春闘の重点要求)
  5.  「成果主義賃金」と「裁量労働制」の導入に反対します。
  6.  四月昇給を実施していない企業は、直ちに四月昇給を実施するよう要求します。
  7.  夏季―時金については、昨年を上回る一時金を支給するよう最大限の努力をするよう要求します。
  8.  賃金、一時金、退職金、諸労働条件について、契約社員、契約労働者、アルバイト労働者、パート労働者など「非正規雇用労働者」と正規労働者との均等待遇をはかるよう要求します。
     契約社員、契約労働者、アルバイト労働者、パート労働者に、労働条件の最低基準を定めた労働基準法を適用するよう要求します。
  9.  映演各社ともメンタルヘルス・ケアに努め、有給休暇の消化と長時間労働の解消に努力してください。
     週休2日制・週実働35時間の実現をめざすとともに、ワーク・ライフ・バランスを就労の原則にしてください。
     厚労省通達に従って労働時間の把握に努め、長時間労働の解消に努力するよう要求します。特に時間外労働が月80時間を超えるような超長時間労働については、特別の対策を立てて早急に解消されるよう要求します。
     また、全事業所で36協定を締結してください。未払い残業・サービス残業の根絶を要求します。
     製作現場の労働時間については、継続作業15時間、非召集(インターバル)10時間、週1回の休日を業界のルールとするよう要請します。
  10.  今年4月に施行される改正労働基準法に基づき、60時間以上の残業については50%の割増率にするとともに、45時間以上の残業についても割増率を50%にするよう要求します。
  11.  映演各社とも改正・男女雇用機会均等法に則り、性差別禁止、間接差別の禁止、安心して妊娠・出産・育児ができる職場環境を作るよう要求します。また、ポジティブ・アクションを推進するよう要求します。
  12.  改正育児・介護休業法(今年6月30日施行)に基づき、育児・介護休職制度の見直しと子育て支援制度の充実を要求します。
  13.  人員不足による労働強化と職能継承の危機は、企業そのものを疲弊させていきます。映演各社とも、ジョブ・トレーニングができる職場環境の維持と合わせ、人員補充と人材育成に真剣に取り組んでください。
  14.  その他、住宅手当・家族手当の増額、退職金制度の維持拡充、福利厚生の充実を含めた職場環境の改善などの諸要求についても、誠意をもって回答されるよう要求します。
  15.  労働者派遣法の抜本的改正、最低賃金法の改正と1,000円への引き上げを進めるよう要求します。
3. 女性労働者の地位向上と母性保護に関する要求
  1.  コース別採用差別、昇進・昇格・昇給格差をなくすよう要求します。
  2.  生理休暇、出産休暇、育児休暇、介護休暇、有給休暇などの社内諸制度について、契約社員、契約労働者、アルバイト労働者、パート労働者などにも適用するよう要求します。
  3.  女子保護規定を遵守し、母性保護の拡大など女性労働者の労働環境改善をめざすよう要求します。また、女性労働者の深夜労働を減らすよう要求します。
4. リストラ「合理化」反対、雇用と経営に関する要求
  1.  映演各社は雇用に責任をもち、雇用の継続を最優先するよう要求します。また、青年労働者の雇用を拡大してください。
  2.  経営のツケを労働者にしわ寄せしないよう要求します。労働者犠牲の一方的なリストラ「合理化」は行わず、「整理解雇の4要件」を守ることを要求します。希望退職の募集や早期退職優遇措置の開始にあたっては、当該労組と事前の協議を尽くすことを要求します。
     また、従業員に経営展望を示すよう要求します。
  3.  社会問題化している「派遣切り」や有期雇用労働者の「雇い止め」を行わず、アルバイト労働者、契約労働者、派遣労働者の雇用と権利を守るよう要求します。雇用が1年を超えるものについては、常用雇用労働者としてください。また、契約社員等の社員登用制度を実施してください。
  4.  映演各社は社会的責任(CSR)を自覚し、法令遵守(コンプライアンス)の立場を明確にするよう要求します。
  5.  不当労働行為はいっさい行わないよう要求します。
5. 映画・映像産業の基盤拡充に関する要求
  1.  映演労連が提起している「日本映画振興基金」と「映画振興に関する要望書」の早期実現に向けて、映画業界挙げて努力するよう強く要求します。
  2.  日本の撮影所を守り、撮影所機能を強化するよう要求します。撮影所への公的支援、公設オープンセットの建設に向けて、業界を挙げて努力するよう要求します。また、映画映像製作に携わる人材の育成と職能の継承に努めてください。
     松竹は、労使協定に基づいて新撮影所の早期建設に全力を傾注してください。
  3.  映演産業に働くフリー契約労働者、不安定雇用労働者、俳優などの権利確立と社会的地位向上、労働保険(労災保険、雇用保険)の適用などに向けて、業界として努力するよう要求します。
  4.  労働災害の防止について全力を傾注し、業界全体の労使で構成する「労働災害防止委員会」を設置するよう要求します。
  5.  テレビ局に「優越的地位による不公正な契約関係の押し付け」をやめさせ、番組制作について公正なビジネス関係を作り上げるとともに、充実した番組作りに努力するよう要求します。改正下請二法を守り、守らせてください。
  6.  日本のアニメ産業の歪みを正し、空洞化を防ぐために、私たちが作成した「アニメ産業改革への提言」を真摯に受け止め、アニメ産業改革のために行動を起こしてください。
6. 演劇に関する要求
  1.  松竹(株)、(株)歌舞伎座、歌舞伎座事業(株)、歌舞伎座舞台(株)は、歌舞伎座の建て替えに伴う従業員の雇用と職場確保に責任を持つよう要求します。
  2.  平成22年度文化庁予算案は、芸術・文化活動への助成が抑制され、「優れた芸術活動への重点的支援」などが削られています。舞台芸術・伝統芸能等への公的支援を拡充するよう、企業・劇団サイドからも文化庁に要請してください。
     また、伝統演劇の後継者育成、舞台美術スタッフの人材育成、劇団活動に対する公的施設の利用規制の緩和と設備の拡充、観客の料金負担軽減のための税制優遇措置などについても、行政などに支援を要請してください。
  3.  労働災害を防止するため、万全の技術研修、製作所・劇場等の職場環境の整備を早急に実施するよう要求します。また、「安全衛生委員会」を必ず設けてください。
  4.  演劇文化の質的向上には、演劇人が演劇で自活できることが必要不可欠です。企業・劇団は、雇用条件・職場環境の改善に努力するよう要求します。
7. 平和と民主主義、国民生活向上に関する要求
  1.  9条をねらった憲法改悪に反対し、平和と基本的人権、言論・表現の自由を守るべき映画人として、「映画人九条の会」などと連帯して、ともに行動することを要請します。
  2.  核兵器のない世界を作るために、ともに行動してください。
  3.  後期高齢者医療制度の早期廃止、社会保障制度の改善、消費税増税反対など国民生活向上に向けて、ともに行動するようするよう要請します。
以上