2010年3月5日
厚生労働大臣
長妻 昭 殿
映画演劇労働組合連合会
中央執行委員長 河内 正行

専門26業種の見直しを含めた労働者派遣法の抜本改正と、映画・映像労働者の雇用保険適用拡大に向けての要請書

 私たち映画演劇労働組合連合会(映演労連)は、松竹、東映、東映アニメ、日活、角川映画、国際放映などの映画・映像各社の労働組合、個人加盟の映演労連フリーユニオン、並びに金井大道具、藤浪小道具、歌舞伎座舞台、前進座、劇団風の子、荒馬座など舞台美術・劇団関係の労働組合で組織されている産別労働組合です。

 専門26業種の見直しを含めた労働者派遣法の抜本改正と、映画・映像労働者の雇用保険適用拡大に向けて、以下の通り要請いたします。

  1.  映画・映像の製作現場で働く多くの労働者は、作品ごとに契約する「フリー契約者」と呼ばれる労働者や、派遣労働者といった非正規雇用労働者で占められています。
     今回、国会に提出される労働者派遣法改正案では、専門26業種の登録型派遣が例外として現行のまま認められようとしていますが、それでは映画・映像製作労働者はほとんど全ての職種において拡大解釈された「専門職」の範疇にされ、派遣先会社(製作会社)の雇用義務の免除が続くと危惧しています。
     実際、映画・映像産業に働く派遣労働者は、製作会社の雇用責任の回避、雇用の安全弁として使われているのが実態です。
     また映画・映像産業では、偽装請負、違法派遣も多々見られます。今回の改正案では、偽装請負などの違法派遣についても、派遣先が違法であることを知りながら受け入れた場合に限る「みなし規定」にとどまり、派遣先がしらを切れば済んでしまう、違法派遣や偽装派遣を見逃す抜け穴となる大きな問題点を残したままです。
     私たち映演労働者は、昨年の政権交代で旧来の自公政権では成しえない「抜本的な労働者派遣法の見直し」を期待してきました。しかし、このままの法案では不十分であり、企業を利するだけの改正案になる危険性があると受け止めています。専門26業種の抜本見直しと、罰則規定の強化を強く要請するものです。
  2.  映画・映像の製作現場で働く労働者の多くが、作品ごとに雇用契約を結ぶ形式をとっていることから、長年同じ撮影所で働いている者でも雇用保険の適用除外となっています。
     しかし、経済不況や広告費の落ち込み、テレビ局の経営悪化などで、劇映画やテレビドラマは製作本数が減少しており、映画・映像労働者にとって雇用保険の適用は死活問題になっています。このまま放置すれば、映画・映像製作の現場から多くの職能が失われる結果にもなりかねません。
     今国会に提案される「改正雇用保険法」では、非正規労働者の適用範囲の拡大を目的に、適用基準が「31日以上雇用見込み」に緩和されると聞いています。
     是非とも、映画・映像産業で働く「フリー契約者」についても適用範囲に加えるとともに、各労働局、並びに各公共職業安定所に対して雇用保険の適用を指導徹底されるよう要請いたします。
以上