東映退職金カット裁判闘争・和解成立の報告並びに御礼

 皆様に大きなご支援をいただいて闘ってきました東映退職金カット裁判闘争の和解が、去る十一月二十六日に東京地裁にて成立し、闘争終結の運びとなりました。一年三ヵ月に及んだ闘いを励まし、裁判傍聴、団体署名、抗議ファックスの取り組みなどにご協力いただいた皆様に、心からのお礼を申し上げます。

 二〇〇六年四月一日から改正・高年齢者雇用安定法が施行され、六十才以上の雇用延長制度が全ての事業主に義務化されました。東映はこれを悪用して、退職金の大幅減額(一般社員で約五〇〇万円)に応じなければ、六十才以降の再雇用を認めないとする再雇用制度を、社内の反対はもちろんのこと、組合とのまともな協議も無しに一方的な就業規則の変更で強行しました。私たち全東映労連及び統一東映労組は、この東映の再雇用制度が高年齢者雇用安定法の趣旨を逸脱することはもちろんのこと、就業規則の一方的な改正による不利益変更であるとの判断から、二〇〇六年八月二十五日、当時の統一東映労組(当該労組)溝口玄委員長、高橋邦夫副委員長(映演労連委員長)、加藤寛士本社支部委員長の三名が原告となって、東京地裁に提訴しました。
 裁判での争点は、「退職金の大幅カットを再雇用の条件にすることは、高年齢者雇用安定法の趣旨に反する」「今回の就業規則の改定は一方的な不利益変更であり、無効である」ということでした。
 私たちは、この裁判闘争を一企業内の闘いに留めず、社会的な世論に訴え、運動を広げるために二〇〇六年十月六日、産別を超えた方々の参加を求め、MIC副議長である加藤豊全印総連委員長を会長に「東映退職金カット裁判闘争を支援する会」を結成しました。この「支援する会」を中心に、裁判の大量傍聴、団体署名の取り組み、東映への争議要請行動、裁判闘争決起集会の開催と数々の取り組みが行われ、大きな運動にすることが出来ました。団体署名は、短期間の中で一一一九筆を集めることができました。
 これらの運動の発展によって、頑なな態度であった被告・東映は態度を変化させ、裁判所から和解交渉の提起もあって、二〇〇七年七月から和解に向けた話し合いの席に着くことになりました。
 東映と統一東映労組との団体交渉は九回にわたって行われ、十一月二十六日の団体交渉で以下の内容で和解することが合意されました。また同日十六時から行われた第十一回裁判では、労使の合意内容に従って和解調書が作られ、後日労使協定が締結されました。

 和解内容は、

  1.  会社は、退職金の定年加算金三分の二カットを、二分の一カットに改定する(約一二五万円の増額。すでに定年後嘱託者になった方にも適用)。
  2.  会社は、定年後嘱託者の昇給について、「昇給は原則として行わない。但し、雇用期間を延長する際に見直す」と改定する。また、新たに精勤手当として二万円を支給する。
  3.  会社は、定年後嘱託者の本給(一律二十二万円)について、新入社員初任給の本給部分の改定があった場合には本給を見直す。また、組合から本給改定の要求があった場合、交渉に応ずる。
  4.  会社は、定年後嘱託者の雇用期間を延長する際に、当該組合員若しくは組合から昇給の要求があった場合、交渉に応ずる。
  5.  会社は、今後とも、組合員の労働条件等の変更・制度の新設等に際し、組合と十分な協議を重ねた上で実施する。

 ──というものです。

 私たちがめざした、六十才以降再雇用の条件となった退職金カットの全部をはね返すことができず、一〇〇%の勝利にはなりませんでしたが、定年後再雇用者の賃金の上積みと、事実上の昇給実現に道を開いたことと併せて、六十%以上の勝利和解になったのではないかと思っています。
 また、会社の理不尽な労働条件改悪は許せない、とする若手社員の怒りが会社を相手に裁判闘争に踏み切った意義は大きく、労働者の権利意識が職場に浸透することにつながりました。
 この間、「合理的な理由」があれば就業規則の変更で一方的な労働条件の切り下げを可能にした労働契約法が成立しましたが、東映の退職金カット裁判闘争は、それに対する先駆けのような闘いであり、闘いによって労働者の同意がなければ一方的な労働条件の切り下げはできないことを証明した闘いでもありました。
 私たちは、労働者の権利を守るために、今後も組合闘争に力を注いでいく所存であります。
 全国の支援していただいた方々に深く感謝いたします。本当にありがとうございました。

二〇〇七年十二月
東映退職金カット裁判闘争を支援する会 会長 加藤 豊
映演労連全東映労働組合連合 中央執行委員長 河内正行
映演労連全東映労連統一東映労組 中央執行委員長 山野 宏