映画の自由と真実ネット
ニューズレター   No.14(2001.6.22発行)  PART
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映画の自由と真実ネット、第3回総会成功!
 映画の自由と真実ネットの第3回総会が01年5月24日(金)、東京・文京シビックセンターで行なわれました。

 総会は、代表委員・山田和夫さんの挨拶で始まりました。山田さんは、映画『ムルデカ』の公開に続いて『宣戦布告』が完成をめざして仕上げ作業を再開し、『プライド』の伊藤俊也監督が平和憲法を押し付け憲法だと描く『映画・日本国憲法』の準備を始めたとの報道を紹介、右傾化映画の製作が相次いでいる中で、『郡上一揆』や『ホタル』など日本映画の良心を結集した作品を支えようと訴えました。

 高橋邦夫・事務局長は、大船撮影所の閉鎖や『ムルデカ』の公開など、激しく揺れ動いた映画界の中で、この一年、映画の自由と真実を守る運動を着実に進めてきた、と報告。また、ネットの2年間の講演をまとめた「講演集/映画の自由・映画の真実」も完成し、4月19日から発売していると報告しました。

 記念講演は神山征二郎監督で、テーマは「『郡上一揆』の心と私たち」。神山監督は、これが最後と思って監督生命を賭けて『郡上一揆』を作った、と語り、ユーモアを込めて小泉政権を批判したり、日本映画界の問題を鋭く抉って、大きな拍手を浴びました神山監督の講演録は、会員の皆様にお届けします

 最後に総会は、「映画の自由と真実を守るために」と題した「第3回総会アピール」を採択して終わりました。総会で確認された第3期役員は、以下の通りです。

=映画の自由と真実ネット・第3期役員=

【代表委員】 大澤 豊(映画監督)
杉崎光俊(日本映画復興会議事務局長)
藤原彰(歴史研究者/一橋大学名誉教授)
山田和夫(日本映画復興会議代表委員/映画評論家)
【事務局長】 高橋邦夫(映演総連委員長)
【幹  事】 山口逸郎(映画製作者)、河内正行(全東映労連委員長)
梯俊明(映演総連事務局長)、坂西勝(全東映労連副委員長)
金山圭子(映演総連書記)

 

映画の自由と真実ネット・第3回総会アピール
映画の自由と真実を守るために

 戦後史ではじめて、日本国憲法を「改正」すると公言した小泉内閣が登場しました。とくに戦争を放棄した第9条に標的を定め、改憲の突破口として「首相公選制」を主張、憲法の禁じた「集団的自衛権」を認め、さらに有事法制の準備をはじめるなど、日本を「戦争する国」に転換させる動きが強まっています。

 他方、日本の侵略と加害を認めまいとする一部歴史教科書にたいし、国内外の批判が強まり、とくに中国、韓国など近隣諸国の反発が目立っています。いずれも映画の自由と真実を支える日本国憲法の民主的平和的条項がかつてないほどの危機に直面していることを示しています。

 私たちは3年前、日本の侵略と加害を認めようとしない映画『プライド 運命の瞬間』(監督/伊藤俊也)を批判する運動を展開、その経験と成果をもとに、「映画の自由と真実を守る全国ネットワーク」を結成、映画『南京1937』への上映妨害事件のような表現の自由への攻撃とたたかうと同時に、『プライド』のような歴史の真実を偽造する映画の再現をきびしく批判してきました。

 2001年を迎え、前記のような重要な情勢が展開されるとともに、映画界でも「アジア諸国の独立は日本のおかげ」と称する新作映画『ムルデカ17805』(監督/藤由紀夫)が全国公開され、朝鮮半島情勢の発展から製作を中断していた『宣戦布告』(監督/石侍露堂)が新たなスポンサーによって完成をめざし、有事法制の必要をアピールする映画として登場しようとしています。さらに"押しつけ憲法論"を説いた江藤淳の論文を土台に、『プライド』の伊藤監督が『日本国憲法』(仮題)の映画化を準備しており、決して楽観できない情勢を見せています。

 私たちは日本国憲法の規定によって支えられている「映画の自由」を守るためには、『ムルデカ』など「映画の真実」に背を向ける映画の出現を座視し、放置することは出来ません。

 私たち日本映画を愛する映画人、映画愛好者は戦時中の痛切な記憶をかみしめ、戦後半世紀以上にわたって守り続けてきた日本映画の良心を、どこまでも大切にしたいと思います。だからこそ5月26日から公開される降旗康男監督の『ホタル』のような、そのような良心の結晶の誕生を心から喜ぶとともに、『ムルデカ』やそれに続く一連の前記作品には、心からの怒りをおぼえます。

 日本映画を愛し、その未来を憂えるすべての人びとに訴えます。映画界とそれをめぐる日本の状況は、映画の自由と真実、それを支える日本国憲法の危機が現実に進行していることを痛感し、力と知恵を合わせ、いますぐ私たちの声をあげ、行動に立ち上がりましょう。

2001年5月24日
映画の自由と真実を守る全国ネットワーク・第3回総会


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4月19日から発売を開始した「講演集/映画の自由・映画の真実」は、現在1000部を突破しています。内容も大変評判が良く、「赤旗」や「学生新聞」でも紹介されました。さらに多くの方々にお読みいただきたいと思います。

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『ムルデカ17805』、興行的に大失敗!
 5月12日から全国公開された『ムルデカ17805』は、興行的にも失敗した模様です。当初、東日本ハウスが70〜80万枚の前売券を引き受けるので興行的には成功間違いなし、と言われていましたが、結局東日本ハウスが売りさばいたのは20万枚程度にすぎなかったようで、配給収入は前売券分を除いたら1億円を切り、前売券分を入れても2億円程度という惨敗に終わったようです。観客の良識が下した審判です。


ハイテク技術で戦闘シーンに熱中、愛国心強調の粗雑・安易な超大作
   ─なぜいま『パール・ハーバー』か?

山田和夫(ネット代表委員・映画評論家)

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